2019 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な資源経済政策における多層的公益の調和型制度設計ー日独比較法研究
Project/Area Number |
17K03375
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
勢一 智子 西南学院大学, 法学部, 教授 (00309866)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環境法 / ドイツ法 / エネルギー法 / 再生可能エネルギー / ゾーニング / 気候変動防止 / 地方自治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,環境法と経済法の融合領域となる資源経済分野を素材とする比較法研究を通じて,政策形成のグローバル化のもと動態的判断が要請される局面において,国際的,国内および地域レベルで多層的に構成される公益間の調和と共存を目指す法政策について,そのメカニズムと法的特色を明らかにすることを目的とする。 前年度に引き続き,EU法政策およびドイツ法,日本法の調査,それを踏まえた比較法的検討を進めた。EUおよび加盟国において,パリ協定を受けた法制度整備が進み,気候変動防止分野で顕著な取り組みが見られたことから,その動向について重点的に調査を進めた。ドイツ法では,連邦気候変動防止法の立法経緯と背景および導入された制度体制と進捗管理手法について調査を実施した。連邦法に先行してきた州法も調査対象とし,地方自治体による気候非常事態宣言など地方行政からの動きを含めて検討した。資源循環分野に関しては,プラスチック削減に向けた政策対応,立法措置および判例動向について調査した。また,資源経済分野における政策の相関関係,国家戦略や行政計画における連携,施策レベルでの連動可能性についても分析した。 日本法では,地域における公益協調を図る手続として,環境アセスメント制度を再検討し,地方自治体制度について運用状況と課題,活用可能性を調査した。再生可能エネルギー導入促進を目指す地域ゾーニングの先進的事例の現地調査も行い,地域主導により地域利害調整を進める際の諸課題について検討した。また,第2期への移行時期となる地方創生による諸影響,人口減少を見据えた諸施策の地域間比較,基礎自治体の施策と広域的な公益協調などについて調査研究を進めた。 一部の現地調査など,コロナウイルス感染拡大防止措置に伴い,遂行できなかった部分については,翌年度の実施を予定している。研究成果の一部については,研究報告や研究論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴い,年度終盤以降の海外・国内出張がすべて中止となり,研究発表および成果の取りまとめ作業を進めることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に実施できなかった調査研究を発展的に進める。コロナウイルス感染拡大の影響により,現地調査の見通しが立たず,学会等も延期となるなど,厳しい状況にあるが,今後の社会状況の変化に応じて,海外調査の再開を含めて,柔軟に調査研究方法を選択して進めていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴い,海外調査が中止となったために使用計画に変更が生じた。今後の社会状況の変化に応じて,海外調査の再開を含めて,柔軟に調査研究方法を選択して進めていきたい。
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