2017 Fiscal Year Research-status Report
History of Hate Speech Regulations in the United States: Trajectory of American Exceptionalism
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17K03376
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
奈須 祐治 西南学院大学, 法学部, 教授 (40399233)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヘイト・スピーチ / 表現の自由 / アメリカ合衆国憲法 / ヘイト・クライム / 違憲審査基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,1910-20年代のアメリカにおけるヘイト・スピーチ規制の動向の確認を行った。まず10年代の動きとして,映画『國民の創生』をめぐる議論を調べた。また,差別的掲示を規制するニューヨーク州の1913年の公民権法について調査した(特にこの法律の制定の経緯を詳しく論じるJeffrey S Gurock, The 1913 New York state civil rights act, 1 AJS Review 93 (1976)を精読した)。1920年代の重要な動向として,H. Fordが発行した新聞におけるユダヤ人差別の煽動の問題がある。これについては近時多くの業績が公刊されている。特にVICTORIA SAKER WOESTE, HENRY FORD’S WAR ON JEWS AND THE LEGAL BATTLE AGAINST HATE SPEECH (2012), HENRY FORD AND THE JEWS: THE MASS PRODUCTION OF HATE (2002)を中心に調べた。また,上記ニューヨーク州法の制定を働きかけ,Fordの新聞をめぐっても主要な役割を果たしたユダヤ人弁護士,L. Marshallの複数の伝記を収集した。このうち,特にMORTON ROSENSTOCK, LOUIS MARSHALL, DEFENDER OF JEWISH RIGHTS (1965)のみ詳しく読むことができた。この研究を通して,ユダヤ系の団体が当時ヘイト・スピーチに対してどのような方針をとっていたかを確認することができた。なお,今年度は集中的に全研究期間に用いる文献の収集を行った。概ね必要な文献を収集することができたので,次年度以降の研究の準備が整った。また,文献管理ソフトを用い,収集した文献の整理も進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り研究が進んだが,研究計画当初想定していた以上の文献が見つかった。次年度以降読み切れなかった文献を詳しく調べたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には,1930-50年代の動きをフォローする。30年代のアメリカ国内でのナチスの台頭,それに対する州や自治体の対抗策について,まず検討を及ぼす。次に40年代にエホバの証人が各地で起こした衝突について調査する。その後主に40年代以降各州で制定された集団的名誉毀損法について詳しく調べる。今年度に積み残した文献が少しあるものの,30年代以降の文献の一部を先に読み進めているため,概ね予定通り研究を進めることができると見込んでいる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額はわずか94円なので,事実上次年度使用額がほとんど生じなかった。予定通りの研究費の執行を行うことができた。
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