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2017 Fiscal Year Research-status Report

A considering the influence of Chilcot Report which verified Iraq War on the changing British Military Law

Research Project

Project/Area Number 17K03378
Research InstitutionTsuyama National College of Technology

Principal Investigator

大田 肇  津山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30203798)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords生命に対する権利 / Convention / 免脱 / チルコット委員会
Outline of Annual Research Achievements

今回の研究課題は2つ、1つは、イギリスの裁判所が、裁判管轄権の問題に一定の道筋をつけたのち、戦争・占領における「生命に対する権利」の保障にどのように取り組むかであった。それを扱った2013年の最高裁 Catherine Smith 事件判決の差し戻し審(高等法院)での審理に注目が集まったが、最終的には原告(死亡したイギリス兵士の遺族)に対し国防省が謝罪をするという形で決着がついた。この問題の主たる舞台は、海外での軍事行動に関しヨーロッパ人権条約からの免脱(derogation)を巡る議会での議論に移ったようである。免脱に関しては、拙稿「軍隊の海外での作戦行動に関しヨーロッパ人権条約からの免脱を巡るイギリスにおける議論の検討」(津山工業高等専門学校紀要 59号、2017年)において、その賛否の意見を紹介しているが、免脱を目指す政府案に対する評価は低い。
もうひとつの課題が、、チルコット委員会報告書がイギリスの議会、政府(特に国防省)等にどのような影響を及ぼしているかの検証である。論文等の学術レベルでは委員会報告を検討したものはまだ少数に留まっているが、2018年4月13日の米・英・仏3国によるシリア攻撃に関し、議会において、事前の議会承認を得ることなくイギリス軍が参戦したことを巡り、Corbyn労働党党首はチルコット委員会報告書の一節を引用しながら厳しく批判した。現在、海外での軍事行動に関しは事前の議会承認を必要とするというthe War Powers Conventionの実効性に関し、資料等を収集し検討中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

チルコット報告書は全12 巻のものであり、研究者の間でも、現時点ではまだ十分な検討が終了していないように想像される。また、来年に迫ったBrexitへの対処で大揺れのイギリス政治にあっては、それ以外の課題についてはその対応が遅れがちであるとも言えるだろう。また、問題に対処する方法に関して、様々のものが順繰りに提示され、じっくりと理論上の整理を踏まえながら検討するという段階ではまだないように思われる。これらの「迷走」は、従来国王大権の下で首相の判断で自由に決定できた軍事行動に、政治的・法的制限が加えられようとしているという「過渡期」を示しているとも言える。

Strategy for Future Research Activity

昨年度はイギリス出張ができなかったので、今年度はイギリス出張をおこない、イギリスの研究者との意見交換をおこないたい。この数年、軍事問題にほとんど無関心であったイギリスの憲法研究者の中に、特に若い研究者に、国王大権、the War Powers Convention あるいは免脱を巡る議論に関心をもつ人が増えており、日本国憲法の平和主義およびその防衛法制の紹介も含めて、比較憲法の視点を含む研究を進めていきたい。昨年度は免脱を扱ったので、今年度はthe War Powers Convention に関し、イギリスにとってイラク戦争の教訓とは何だったのかという視点も含めて、検討していきたい。

Causes of Carryover

昨年度は当初予定していたイギリス出張が学内校務との関係で日程調整がつかず、できなかった。また購入予定であったパソコンも現在使用中のものが比較的良好に作動していたため、購入時期をずらすこととした。そうした理由から、予定の予算をきちんと使い切ることができなかった。今年度は、イギリス出張を2回(夏と春)におこなう予定であり、パソコンも新規購入する予定であることから、昨年度の予算を含めて執行の予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 軍隊の海外での作戦行動に関しヨーロッパ人権条約からの免脱を巡るイギリスにおける議論の検討2017

    • Author(s)
      大田肇
    • Journal Title

      津山工業高等専門学校紀要

      Volume: 59 Pages: 39,43

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2018-12-17  

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