2017 Fiscal Year Research-status Report
国連平和維持機能の実効的実施と加盟国の国内法制度によるその実現
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17K03383
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 啓亘 京都大学, 法学研究科, 教授 (80252807)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国際連合 / 多国籍軍 / 平和維持活動 / PKO / 被許可型軍事活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、第1に、国連加盟国による多国籍軍型軍事活動に焦点を当てて、その新たな動向を規範的に検証・分析し、法的意義の考察を行った。具体的には、こうした軍事活動の中でも国連安保理により国連憲章第7章に基づいて武力行使が国連加盟国に許可された活動を「被許可型(authorized)」軍事活動と呼び、活動形態、任務や目的、国連憲章上の位置づけを順次整理して、特に国連平和維持活動(PKO)と連携する多国籍軍の活動に焦点を合わせて、国連憲章第7章による強制の意味や、そうした強制とは対極の位置にある「同意」の意義を検討した。この「被許可型」軍事活動のうち、とりわけ平和活動型多国籍軍を考察の対象として、国連による加盟国の行動へのコントロール強化を通じたその公共性や正統性の増進とともに、任務遂行の実効性を向上させる観点から、憲章第7章に基づく行動と関係当事者の意味が検討された。その成果は、「「被許可型」軍事活動における関係当事者の同意の意義-平和活動型多国籍軍の実効的実施に向けて」という論文として公表予定である。 第2に、国連PKOについては、平成29年度で新規に設置されたものは国連ハイチ司法支援ミッションのみであったことから、当該PKOの活動や法的性格について検討するとともに、既存の「強化された」PKOの活動状況を把握するとともに、とりわけ国連南スーダンミッション(UNMISS)からの自衛隊の撤退に関する法的問題を検討した。 第3に、国連の「強化された」PKO及び多国籍軍型軍事活動への武力紛争法や国際人権法の適用問題を検討するとともに、日本の国内法制における国連PKOの位置づけや武力紛争法及び国際人権法の適用問題を考察した。その結果の一部は、『防衛実務国際法』の担当部分において公表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で得られた知見に基づく理論枠組みが本研究にも応用可能かどうかを検証したところ、それらが十分可能であることが判明したほか、特に平和活動型多国籍軍の法的性格とその意義について一定の成果があげられたことがその理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目となる平成30年度は、引き続き国連PKOや多国籍軍型軍事活動を国際法上の視点から考察するとともに、そうした活動に関連する日本の国内法制について検討を進める。また、平成29年度に行われた研究とその成果を発展させ、特に国連の平和維持機能をめぐる非法的規範や原則の国内法秩序への受容とその浸透状況の調査に進む予定である。
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Research Products
(4 results)