2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03389
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐野 寛 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40135281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 清 南山大学, 法学部, 教授 (80159277)
伊藤 弘子 名古屋大学, 法学研究科, 特任准教授 (90340364)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国籍 / 重国籍 / 国籍法 / 外国人 / 市民権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、諸国の国籍法の相違から発生する重国籍の課題について、国籍法、外国人法および国際私法を中心として比較法制研究の方法により、分析、検討を 行うことを目的としている。具体的には、重国籍を容認する傾向にあるヨーロッパ諸国の法制を検討し、重国籍に対する対応のあり方について、理論的な観点か ら、まずその方向性と課題を明らかにする。次に、実際の重国籍の発生状況について、日本と関わりが深いアジア諸国の法制を、聞き取り調査を含めて、検証 し、その実態を明らかにする。そして、以上の理論的考察および実態分析を基礎として、わが国の現行の法制の問題点を浮き彫りにし、現行制度を見直す手がか りを得ようとするものである。とくに、本研究では、従来のように、単に重国籍の解消という視点から重国籍を捉えるのではなく、重国籍の発生を前提として、 重国籍者の処遇に関する問題を理論面と実際面の両面から検証し、現行制度を見直す基礎作業を行う。 今年度は、昨年度に引き続き、重国籍に対する対応のあり方について、理論的な観点から、ヨーロッパ諸国およびアジア諸国の法制を考察するとともに、実際の重国籍の発生状況について、日本と関わりが深いフィリピンにおいて聞き取り調査を実施し、重国籍発生の原因とその課題を調査した。この聞き取り調査によって、フィリピンにおいては日本との重国籍の発生について必ずしも深刻な問題とは意識されていないこと、重国籍について比較的寛容な意識にあることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、重国籍に関する理論的課題および各国の状況に関して、基本文献、資料の収集、整理は概ね順調に進んでいる。また、今年度は、佐野と伊藤がフィリピンにおいて大学、NGOでの聞き取り調査を行い、フィリピンにおける重国籍の発生原因、重国籍に関する認識、それに対する対応について知見を得ることができた。また、研究分担者の青木は、韓国の大学において重国籍問題の資料収集、聞き取り調査を行った。 なお、今年度にオーストラリアでの現地調査を予定していたが、相手方の事情で現地調査はできなかったが、Eメール等により情報交換を行うことでオーストラリアの状況を知ることができた、。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、本研究の最終年度になるため、本研究のこれまでの成果を国内の関連する学会または研究会で報告するとともに、台湾と韓国で研究会を開催し、成果報告を行う。また、その内容は研究論文等の形で公表する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)2018年中にオーストラリアにおける現地調査を予定していたが、相手方の事情により調査が困難となったことによる。 (使用計画)繰越額については、2019年度中に台湾および韓国で本研究に関する研究報告を行う予定である。
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