2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Reparatory Jutice
Project/Area Number |
17K03393
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
最上 敏樹 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70138155)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 国際法 / 補償的正義 / 国際立憲主義 / マルティラテラリズム / 境界研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本務校において課題の研究をするほか、これまでの継続としてバーゼル大学(スイス)ヨーロッパ研究所においてしばしば在外研究を遂行した。同研究所における国際共同研究は、(1)市民権の学際的研究(特に、市民権が市民共同体を分断する効果を及ぼした事例の歴史的研究、その国際法的側面など)、(2)マルティラテラリズムの研究(国際機構を媒介とする多国間主義や市民間の脱国家的結合、その国際秩序構築効果など)、(3)境界研究 (Border Studies) を軸とする新学際領域的な国際主義研究、の三者が中心テーマである。同研究所の所員のほか、ドイツ、イタリア、オーストラリアの研究者の参画も得て、文字通り国際的な共同研究となっている。 狭義の補償的正義の研究は、国際訴訟の進捗が滞っているため、それ自体についての研究も並行して大幅な進捗を見ていないが、上記3共同研究は直接間接に補償的正義に関連する分野であり、その意味では側面から研究課題を構築し、課題の外縁を強化する作業が先に進んだとも言える。 研究報告・学会報告としては、2019年9月、国際私法裁判所(オランダ・ハーグ)において、世界国際法学会長会合(フランス国際法学会主催)でアジアにおける国際法学の連携につき報告を依頼され、その報告を行った。同会議で世界各地からの参加者に補償的正義の研究についても説明し、志を同じくする研究者を募ったので、今後その面での協働も大いに期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まだ本格的刊行物の発刊にまで至っていないが、新分野であり、国際共同研究に従事して研究体制を組み立てて来たためである。今後、次々と研究成果を刊行する準備はできているが、期間延長になった今年度(2020~2021暦年)を十分に活用し、その面での進捗は十分に期待できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的にこれまでの方策と変わらず、国際共同研究を中心に準備研究を重ね、成果物刊行へとつなげていく。共同研究のうち、(1)および(2)は出版計画も同時に進め、原則的に共著であるが、確実に出版へと通ずる見通しが立っている。(3)は数大学共同の国際主義研究プログラムへと結びついたため、そこにおいて補償的正義の研究もプログラムに組み込んで、教員・院生協働の研究遂行体制を構築する。
|
Causes of Carryover |
バーゼル大学が滞在費につき相当部分を負担してくれたため、想定よりも余情が生じた。
|
Research Products
(3 results)