2018 Fiscal Year Research-status Report
The Legality/Legitimacy of Reinforcement of Implementating Measures by the UN Human Rights Treaty Bodies
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17K03396
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
前田 直子 京都女子大学, 法学部, 准教授 (80353514)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人権条約 / 国際連合(国連) / 自由権規約 / 国家報告(政府報告) / フォローアップ / 建設的対話 / 欧州人権条約 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30(2018)年度は、国内での調査や研究課題に関連する成果物の執筆を行うことが主たる活動内容となった。 予備的考察に関する研究としては、主として、日本政府に対する国家報告審査とそのフォローアップの帰趨を辿り、自由権規約の実施における日本の課題と、フォローアップ対象事項の選定や、自由権規約委員会のフォローアップ検討の妥当性について考察する作業を進めた。 また、国連総会で2020年秋を目途として進められている「人権条約体強化」に関し、最新の事務総長報告や国連総会決議について、その内容を検討した。考察の結果、現時点では、議論の場が国連総会に移されたことで、従来人権問題を扱っている国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)だけでなく、より政治的な議論が行われている米国・ニューヨーク本部での政府間プロセスが、本研究課題の議論の場となっていることは注目に値する。しかし他方で、ロシアや中国等、ニューヨークにおいて強い発言力を持つ国、また従前から条約体の活動に理解を示してきた西欧諸国のなかにも、「審査疲れ」(reporting fatigue)を訴える国が、一定程度存在することから、「人権条約体強化」議論が、必ずしも積極的な方向へ進んでいない状況も徐々に明らかになってきた。 本研究を、欧州における地域的人権保障条約などとの比較的視点から考察するためにも、欧州人権条約の実施手続の変遷について考察し、判例評釈とは別に、概説としての論稿を執筆・公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30(2018)年度は、予定していた国外での調査を諸業務との兼ね合いで実施することが困難であったため、国内での調査や研究課題に関連する成果物の執筆を行うことが主たる活動となった。 予備的考察に関する研究としては、主として、日本政府に対する国家報告審査とそのフォローアップの帰趨を辿り、自由権規約の実施における日本の課題と、フォローアップ対象事項の選定や、自由権規約委員会のフォローアップ検討の妥当性について考察する作業を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元(2019)年度は、国家報告審査フォローアップの運用に関し、自由権規約委員会で行われた手続の運用見直しの結果について、国連人権高等弁務官事務所が提供しているデータベース等を活用し、検討の対象国数、項目を増やして、追加的な調査を行う。 可能な限り、国連などの現地調査を実施し、本研究課題を継続的に議論しているNGOフォーラムなどとも情報交換に努め、①国連総会での「人権条約体強化」の議論動向、②人権条約体の合法性・正統性に関する問題意識などについて、インタビュー調査を行う。あわせて、日本国内だけでなく、国際的な学術的議論動向から、自らの考察結果を検証する作業を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、特に旅費に関して、国内での調査研究活動が主となり国外への出張回数が(今年度に限り)減少したこと、国内出張に関しても、旅費先方負担などのものが偶々重なったことが一因と考えられる。 繰越分とあわせ、2019年度には、国外での調査・研究成果発表の機会を可能な限り積極的に設けるとともに、研究に有用な書籍の購入、研究成果の作成に必要な機器類の購入等に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)