2020 Fiscal Year Research-status Report
The Legality/Legitimacy of Reinforcement of Implementating Measures by the UN Human Rights Treaty Bodies
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17K03396
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
前田 直子 京都女子大学, 法学部, 教授 (80353514)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人権条約 / 国際連合(国連) / 自由権規約 / 国家報告(政府報告) / フォローアップ / 建設的対話 / 欧州(ヨーロッパ)人権条約 / 外国人 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2(2020)年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、国内での文献調査や研究課題に関連する成果物の執筆を行うことが主たる活動内容となった。 具体的には、自由権規約やヨーロッパ人権条約における個人通報・申立事案に関する時間的管轄に焦点をあて、条約により保障される実体的義務と手続的義務との相関における時間的管轄権の認定に関する法理を分析し、論文として公表した。 国連における人権諸条約のモニタリング委員会(人権条約体)の強化については、コロナ禍で国連における議論もペンディングになっている状況ではあるが、2020年度夏を期限に、各国政府や地域機構からの質問・コメントペーパーが提出され、国連ウェブサイトに掲載されており、それらを1つ1つ読み込み分析する作業を行っている(継続中)。 コロナ禍において人権条約体の活動自体も大きな制約を受けていることが明らかになった。多くの条約体は一定期間活動を停止し、オンラインによる作業が再開されても、必要とされる国家との対面審査は、時差やオンライン対応能力の問題等もあり、例えばジュネーブとの時差が少ない国に限られるなど、非常に限定的な範囲でしか実施されていない。結果的に国家報告審査の積み残しも再び発生し、活動自体が脆弱化していることが懸念される。 さらに本研究課題について国際法と国内法の実施における関係という視点を加え、外国人の在留管理にかかわる人権条約上の権利・義務に関する分析作業を行い、論稿を執筆・公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元(2019)年3月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、予定していた現地調査等が約1年余の間実施できない状況にあり、また、人権条約体自体の活動も同様に制約・停止していたため、より実質的な総括的研究計画を次年度に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における中核的テーマである国連人権条約体の強化に関する議論については、2020年度夏を期限に、各国政府や地域機構からの質問・コメントペーパーが提出され、国連ウェブサイトに掲載されており、それらを1つ1つ読み込み分析する作業を行っている(継続中)。2021年度に国連総会において総括的議論が予定されているところ、それまでにひととおりの検討を終え、地域あるいは議論を主導する国の意見について類型化しながら分析を進めたい。 コロナの収束状況次第ではあるが、各条約体の活動状況や人権理事会での議論等も調査(現地調査も含めて)を実施したい。それらの活動を元に、本研究課題の最終年度となることから、総括的な研究論文の執筆・公表を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内国外ともに予定していた調査研究計画が遂行できず、旅費として想定していた予算の執行に遅れが生じた。 研究期間の延長が承認されたことに伴い、本件研究課題に関し、国連でも同様に議論に遅れが生じているところ、そこでの令和3(2021)年度の議論をフォローできる好機と捉え、調査・研究成果の発表機会を設けたい。成果論文の執筆にかかる費用(英文校閲等)や研究活動に必要な図書類の購入にも充当する予定である。
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Research Products
(4 results)