2020 Fiscal Year Research-status Report
カール・シュミットの国際秩序思想における基本概念:媒介性・敵・中立
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17K03399
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西 平等 関西大学, 法学部, 教授 (60323656)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カール・シュミット / 媒介性 / 国際秩序思想 / 国際法思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究成果の一部を『法哲学年報』(2020年10月発行)において公表した。「敵の地位とその秩序論的構造:カール・シュミットの国際法論の基礎」と題されたこの論文は、時代状況に応じて大きく変化したといわれるシュミットの法理論に通底する基本構造を明らかにしたものである。すなわち、価値を実現するに際しても、法によって承認された他者の地位や権限を尊重しなければならない媒介的状態と、価値実現のために事実的に必要な手段を、純粋に目的合理的にとることのできる無媒介的な状態との区別が、国際法を含むシュミットの秩序思想の根底にあり、「例外状態」・「独裁」・「敵」・「ノモス」・「陸と海」など、シュミットの公法・国際法思想を特徴づける概念は、いずれも、その区別の上に構成されているということである。 研究成果を発展させるための国際会議や講演会は、新型コロナウイルス感染症のため、実施できなかった。その代わりに、オンラインにて国際法史研究会をほぼ毎月開催し、この課題の研究成果を以後の共同研究に組み込んでゆく方策を探った。この研究会の報告者は、西平等(2回)・豊田哲也(国際教養大学)・五十嵐元道(関西大学)・濵本正太郎(京都大学)・西真如(京都大学)・下谷内奈緒(津田塾大学)・岡田陽平(神戸大学)・稲谷龍彦(京都大学)・黒﨑将広(防衛大学校)・目黒麻生子(アムステルダム大学)である。なお、研究会の成果の一部分は、『法律時報』2021年1月号において公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果の公表も含め、研究そのものは順調に進捗してきた。ただし、2020年度には、新型コロナウイルス感染症のために予定していた会議などが開催できなかったため、予定を大きく変更せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
個人の研究としては、十分に目的を達成しえた。2021年度は、他の研究者と協働しつつ、戦間期国際法学を捉え直すような共同研究を実施するための準備作業を行いたい。
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Causes of Carryover |
研究成果の発表や意見の交換のために予定していた会議や出張が、コロナウイルス感染症のために実施不可能になった。2021年度に成果発表や意見交換の機会を設けたい。
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Research Products
(3 results)