2019 Fiscal Year Research-status Report
労働力減少を予期した就業支援事業全体の技術と法理マップの構築
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17K03410
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
紺屋 博昭 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (30344584)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 就業支援 / モデル化 / 人材確保 / 人材育成 / 労働力確保 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はマップスケール構築の具体化作業に引き続き取り掛かった。 たとえば日本の雇用システムの埒外にあり、企業の採用プロセスに直接親和しない外国人労働者(技能実習生)を調査サンプルとし実体例を九州そして青森岩手等で収集した。そこでの海外での人材選抜を含む人材候補者確保から企業への人材導入までの一連を分析し、採用から活用までのスケールプロセス、そしてスケール中の問題点や課題を集め、使用者の採用プロセス、あるいは人材確保プロセスにおける新たな労働法的問題を抽出しようとした。 人物保証の様相、自己負担金、個人情報の収集と頒布、思想信条の自由との衝突、契約内容の開示の具体化、契約締結前の労働条件折衝の可能範囲、宣訳の意義、etc.それら問題点と課題をまとめ、中間成果として2、3の研究セミナー等で報告し、知見の補正を得てさらにブラッシュアップされた就業支援法理モデルの構築を試みた。 とくに自己負担や「契約外契約」「契約外義務」の問題は、これまで雇用契約、労働契約の内在部分として解釈され運用されてきた様相だが、実際は契約の重層構造、分化構造になっている。この分析と展開は法理マップのなかで重要なセクションとなる見通しが得られ、その実態解明作業をなお多様なサンプルを手掛かりに進めていく予定である。また、経済学でいう人材確保の先行投資が、人材拘束の実態へとつながっていることも観察され、投資と拘束(リターン)の法理モデル構築の備えも必要かという着想を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熊本地震、各地の台風被害、あるいは最近の感染症流行により、フィールドにおける人材確保と育成のサンプルを取得しずらくなっており、おのずと動態からのフォードバックによる法理構築作業に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプルモデルを高齢者、転職経験者、若年者などに絞り、企業における採用と育成のプロセス実態から新たな問題点と課題を洗い、就業支援法理モデルの構築作業を継続する。モデルから得られる還元的技術を、企業あるいは法律実務家等とともに検討し、研究成果の社会還元に努める。なお上記の研究遂行の遅れは、研究期間延長にて対応する。
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Causes of Carryover |
地震、台風、あるいは流行感染症の影響で、各地の企業や自治体における調査取材活動への支出と、関連する諸経費の支出のめどが立たなくなったため、次年度使用額が発生した。予定された調査取材は中止ではなく延長であり、それら調査取材について企業や自治体の協力体制も維持されているため、次年度以降に使用額を消失し研究を遂行できる見込みである。
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