2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03416
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
柳澤 武 名城大学, 法学部, 教授 (70363306)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 解雇 / 退職勧奨 / ハラスメント / 整理解雇 / 人選基準 / 労働契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、国内外の出張が困難であったこともあり、電子データベースを含む文献蒐集と調査を行った。また、ほとんどの研究発表の場がオンラインによる研究会へと変更されたため、オンラインでの成果発表を行なうための通信機材を増強する必要にも迫られた。 主要な研究成果としては、2020年6月22日に、日本評論社のビデオ会議により収録された、関・永野・森・柳澤・菊池「座談会:高齢・障害と社会法」法律時報92巻10号11頁(2020)がある。高齢者に対する片面的な措置について、障害における合理的配慮との違いや、年齢差別特有の構造についての対談を行なうとともに、コロナ禍における解雇問題についても言及した。 また、判例評釈ではあるが「出産後一年以内における解雇の客観的合理的理由」法学セミナー791号121頁(2020)や「休職期間中に行われた試し出勤(テスト出局)の相当性と賃金請求権などが争われ、試し出勤中の労働に対して最低賃金額相当の賃金支払が認められた事例──日本放送協会事件」判例評論737号137頁(2020)という業績に代表されるように、本テーマと深く関係し、労働契約終了についての事案も積極的に取り上げた。 さらに、コロナ関連の解雇を扱った実績として、「非常事態における休業手当と整理解雇――新型コロナウイルスによる影響を中心に」法学セミナー789号33頁(2020)と「コロナ禍におけるアメリカの労働政策」労働法律旬報1975+76号77頁(2021)がある。裁判紛争としても、コロナに便乗した整理解雇ではないかとみられる事案も出ており、人選基準の妥当性を中心に検討を続けたい。 最後に、本年度についても、電機連合NAVI74号7頁(2020)といった労働組合向け雑誌において、研究成果の一端を分かりやすく説明し、社会一般への情報発信にも努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により調査のための出張はできなかったが、これまでの調査をまとめ、一定の研究成果を公表することができた
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により引き続き海外渡航は難しそうであるが、いよいよ最終年度となるため、これまでの研究をまとめることに注力する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により出張を実行できなかったため、次年度使用額が生じた。 令和3年度の使用計画としては、引き続き海外出張が難しいことが見込まれるため、遠隔での研究会参加や情報発信が可能となるような物品購入や資料蒐集(取り寄せを含む)へ変更せざるを得ない。その上で、最終年度の成果発表については、当初の計画通りに使用する。
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