2019 Fiscal Year Research-status Report
賃金格差の正当性に関する比較法研究-英・米・加の賃金差別禁止法理の分析
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17K03419
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
所 浩代 福岡大学, 法学部, 教授 (40580006)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ペイ・イクイティ / 平等賃金 / 男女賃金格差 / 同一労働同一賃金 / 同一価値労働同一賃金 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、1)カナダの賃金衡平法制の状況 2)ヨーロッパ(特に英国)の平等賃金法理の状況、3)アメリカ合衆国の賃金格差施策の状況について、調査を行った。 1)については、2019年8月までカナダ・トロントに滞在し、トロント大学ロースクールにて在外研究を行っていたため、トロント大学の図書館で文献調査を行い、カナダ法制全体の把握に努めた。また、トロント大学のランジール教授(労働法)や、オンタリオ州労働関係委員会のFishbein氏にインタビューを行い、カナダの労使関係の発展経緯、昇給制度の実態、男女賃金格差是正に関する組合の取り組みなどの話を伺った。 2)については、2019年4月にヨーロッパ出張を行い、イタリア・フイレンツェ大学で開かれた労働法の研究会に参加した。また、スイス・ジュネーブで開かれたILO100周年記念シンポジウムも傍聴した。これらの会には、EU諸国の大学関係者も参加していたので、そこでヨーロッパ全体の状況や各国の賃金差別施策の状況などの話を聞くことができた。 3)アメリカについては、5月にコロンビア大学の関係者にインタビューし、最近の労使関係の動向や平等法制の状況を確認した。 2019年8月末に帰国し、9月からは国内状況の把握に努めた。また1)の研究成果の一部は、福岡県の労働委員会セミナーにおいて発表し、国内の労使の関係者とカナダの状況について意見交換した。また講演の内容は、文字に起こして雑誌に掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年3月に、カナダ出張を行い、連邦の賃金衡平法の施行準備状況を調査する予定であった。 連邦政府の担当部局や、労使の代表者とのインタビューの約束が取れていたが、新型コロナウィルス感染拡大のため、直前になってカナダ出張を中止した。 2020年2月以降、ウィルス感染防止対策のため文献の入手が一部困難となり、また、所属大学も長期にわたってキャンパスが閉鎖されているので、研究活動が一時中断していた。 2020年6月以降、大学の図書館や各種の施設が再開される見通しなので、今後遅れを取り戻すように努力したい。また、カナダなどの研究者へのインタビューなどは、オンライン会議システムの機器が整い次第、先方の状況も考慮しながら、インターネット経由で行う予定である。 本研究計画は、以上のような事情により当初計画より1年延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究活動最終年度であるため、9月までに海外の調査を文献収集を中心として終了させ、年度後半に日本、カナダ、英国、アメリカの法制度比較を行う予定である。 海外文献の入手は、現在ウィルス対策のために滞っているが、大学図書館などで契約しているオンラインDBを活用して、雑誌などに掲載された論文の調査を進める予定である。
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定していたカナダ調査が中止となった。また、欧米の文献入手が、新型コロナウィルス対策のために難しくなった。現地調査については、オンライン会議で行えるように、ネットワーク機器を整える予定である。(研究費の一部を機器購入に当てる)
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