2021 Fiscal Year Research-status Report
重大非行事案防止のための多機関連携による非行少年等とその家庭への支援に関する研究
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17K03438
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小西 暁和 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (20366983)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 少年非行 / 少年警察 / 学校教育 / 児童福祉 / 少年保護司法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、重大非行事案防止のための多機関連携による非行少年等とその家庭への支援に関し研究を行っており、補助事業期間が再度延長された第5年度も、必要に応じて過年度に引き続き、「①資料の収集」、「②実態調査」及び「③検討会の開催」を行うとともに、とりわけ「④研究成果の取りまとめ」を実施する予定としていた。 まず、「①資料の収集」に関しては、関連する国内外の論文や書籍等を収集し、その資料の整理・分析を行った。とりわけ本年度も、多機関連携による非行少年等とその家庭への支援の枠組みを形成する上で一つの土台となり得る「子供・若者計画」などに関して重点的に資料収集を実施した。 一方で、「②実態調査」に関しては、上記「①資料の収集」で得られた分析結果なども踏まえながら、本年度も補足的にではあるが、多機関連携を積極的に実施している国内外の地域の各関係機関・団体において聞き取り調査等を実施する予定であった。しかし、本年度も新型コロナウイルス感染症の拡大により、こうした聞き取り調査等を実施することができなかった。 また、「③検討会の開催」に関しては、上記「②実態調査」を行えなかったものの、適宜オンライン上で研究協力者等も交えて実施し、これまでの研究内容を検討するとともに、今後の方向性について協議した。 そして、「④研究成果の取りまとめ」に関しても、少年警察活動、民間団体を中心とした若年被害女性支援活動、地方公共団体が中核となる子ども・若者育成支援推進法の枠組みにおける支援活動といった各領域における機関・団体連携の展開可能性を検討し、令和3(2022)年の少年法一部改正後の18歳・19歳の少年(いわゆる「特定少年」)における「虞犯」に代わる法的対応のあり方などをまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画調書において最終年度となる第3年度は、前半に第2年度までの調査で不足していた項目の補足を行うべく「補足調査」のみを行うものとしていた。これに関して、既に第2年度までに、神奈川(神奈川県・横浜市)、福岡(福岡県・北九州市・福岡市)、広島(広島県・広島市)、大阪(大阪府・大阪市・堺市)、京都(京都府・京都市)、新潟(新潟県・新潟市)、宮城(宮城県)といった先進的な多機関連携の取組みを実施している各地域を網羅的に調査しており、国内各地の多機関連携の取組みに関してデータが十分収集できている。この点、オーストラリアにおいて少年非行・児童虐待等に関して多機関連携の取組みを積極的に実施していることが判明したため、第2年度にオーストラリア(とりわけ、ACT(オーストラリア首都特別地域))にて調査研究を実施した。そして、当該調査研究において不足していた項目の補足を行うべく、第3年度にオーストラリアにおいて「補足調査」を遂行した。 また、研究計画調書において第3年度の後半には、「④研究成果の取りまとめ」を重点的に行うものとしていた。だが、法学部と大学院法務研究科との兼務により研究時間が十分取れなくなったとともに、中国で研究成果に関して報告を行う予定であったが台風による欠航と新型コロナウイルス感染症の流行で2度中止となったため、補助事業期間を延長し、第4・5年度において集中的に「④研究成果の取りまとめ」を行うものとした。 しかしながら、第5年度においても新型コロナウイルス感染症の拡大が収束せず、補足的な調査等が実施できなかったこともあり、「④研究成果の取りまとめ」も部分的なものに止まってしまった。 そのため、研究期間全体を見通すならば現在までかなり順調に調査等が実施できているものの、上記事情より「④研究成果の取りまとめ」が十分成し遂げられておらず、進捗状況は「やや遅れている」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間が再々延長されたため最終の第6年度となった2022年度においては、第1~5年度の研究実績を踏まえつつ、基本的には、改めて「④研究成果の取りまとめ」を集中的に行うこととする。ただし、必要に応じて、やはり適宜、「①資料の収集」、「②実態調査」及び「③検討会の開催」も行うこととしたい。そのことにより、研究成果の更なる精緻化が期待できると考える。「④研究成果の取りまとめ」では、これまで実施した調査研究で得られたデータを踏まえて多機関連携が現在どのような効果を生んでいるかも含め、重大非行事案防止のための多機関連携による非行少年等とその家庭への支援のあり方を検証する。また、最終年度となるため、できる限り研究成果を広く社会へ発信していくことにしたい。引き続き紀要等の印刷物において論文等として公刊する他、積極的に公開の発表の場においても(第3年度に予定していた中国など海外が困難な場合は国内で)報告していくことを予定している。
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Causes of Carryover |
・次年度使用額が生じた理由 上記「現在までの進捗状況」欄にも記載の通り、2021年度に関しても、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束せず、補足的な調査等が実施できなかった。そのため、残額が発生したことにより、「次年度使用額」が生じた次第である。 ・使用計画 上記「今後の研究の推進方策」欄にも記載のとおり、2022年度においては、第1~5年度の研究実績を踏まえつつ、基本的には、「④研究成果の取りまとめ」を集中的に行うこととする。ただし、必要に応じて、適宜、「①資料の収集」、「②実態調査」及び「③検討会の開催」も行う。「次年度使用額」を活用し、こうした「④研究成果の取りまとめ」及び必要に応じた補足的な調査研究を行っていくことにしたい。
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Research Products
(3 results)