2018 Fiscal Year Research-status Report
中小企業の早期再生促進と保証規制のあり方に関する比較法研究
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17K03461
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 由起 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (40400072)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人的担保 / フランス / 倒産 / 企業再生 / 経営者保証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、民法(債権関係)改正が実現し、第三者個人保証人の保護規制の輪郭が定まりつつある現在において、民法上の保護から従来排除されてきた経営者保証人について、中小企業の早期再生を促進するという政策目的を達成するために、民法と倒産法の垣根を超えて経営者保証人の保護規制の確立を目指す。 2017年12月より育児休業を取得し、研究の遂行を中断していた(~2019年2月)。そのため、本年度の実質的な研究期間は1か月半である。 改正債権法に関する保証法の解説及び基本書において、改正法の下での新たな解釈上の問題点を指摘し、解決の方向性を示した。 2019年3月9-10日に開催された「フランス担保法の現在――倒産手続における処遇の観点から」において、保証およびその代替的手段の倒産手続きにおける処遇について、おおむね昨年度まで得られていた研究成果をふまえて、日本法の立場から報告を行った。 すなわち、フランスでは、第三者が担保を提供しているという共通点から、保証人、独立人的担保の提供者、物上保証人を同等のものとして扱い、倒産予防手続・再建型手続において、保証などのの担保としての機能を麻痺させることによって、経営難に陥った企業の経営者がいち早く倒産予防ないし再建型倒産手続を利用することを促すという政策目的を優先させているのに対し、日本では、少なくとも法律上は、主債務者についての倒産手続の開始により主債務者に対する権利行使が禁止される場合であっても、第三者提供型の人的・物的担保に対して担保権を実行することが可能であり、主債務者の支払困難=経営難という事態が生じた以上、保証の担保目的=弁済機能が重視される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
妊娠・出産によって1年半弱研究を中断せざるを得なかったため、現時点において、当初の予定よりも研究の進度は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年半弱の研究中断期間が生じてしまったため、研究期間の延長を申請し、受理された。来年度は、本年度遂行できなかった経営者保証ガイドラインの適用事例の分析およびフランス担保法改正の動向のアップデートに努める。
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Causes of Carryover |
育児休業により、本年度は、実質1カ月半しか研究活動及び予算執行を行うことができなかったため、未使用額が生じている。未使用額は、次年度および研究期間の延長による平成33年=令和3年度に使用する予定である。次年度は、日本及びフランスの関係文献、パソコン代として物品費を、フランスでのインタビュー及び国内における学会参加のための旅費、研究補助のための謝金を計上する。
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[Book] 債権総論2018
Author(s)
石田剛=荻野奈緒=齋藤由起
Total Pages
256
Publisher
日本評論社
ISBN
978-4535806825