2018 Fiscal Year Research-status Report
遺言代替アレンジメントを介した遺産承継における財産の帰属についての民事法的規律
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17K03464
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岩藤 美智子 岡山大学, 法務研究科, 教授 (70324564)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺産承継 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツ法における遺産承継のためのアレンジメントについての検討を行った。具体的には、遺言と遺産承継のための信託的譲渡の諸制度(先位・後位相続[Vor- und Nacherbshaft]、共同遺言[gemeinschaftliches Testament]、相続契約[Erbvertrag]、先取相続[vorweggenommene Erbfolge]など)の実際の用いられ方と理論的な問題点について調査・検討した。また、これらの制度について、承継対象となる財産に対する被相続人の権限の大小(生前ないし死因処分の徹底度)と遺留分(義務分)の減殺請求対象性とをリンクさせる学説・判例の状況について調査・検討した。さらに、相続債権者詐害的な死因処分がなされた場合の相続債権者の保護状況について、とりわけドイツにおける破産手続外債権者取消法(Gesetz ueber die Anfechtung von Rechtshandlungen eines Schuldners ausserhalb desInsolvenzverfahrens)とわが国における遺贈や遺言信託を対象とする詐害行為取消しの規律について、調査・検討した。これに加えて、わが国における相続財産清算制度と、相続財産が清算される局面における相続債権者優先ルール、ルール違反の効果、例外的規律(判例)について調査・検討を行った。これらの研究の成果の一部を、「遺言による処分を対象とする詐害行為取消しについて」(岡大法学68巻3=4号69頁以下)で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
30年度の研究計画で予定していたドイツ法についての研究を、予定どおり行うことができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の成果(日本法、アメリカ法、ドイツ法)の取りまとめを行い、研究報告(信託法学会での報告が予定されている)を行うとともに、研究成果を論文として公表する。
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Causes of Carryover |
予定していた海外出張が先方の都合で出来なかったことが大きな理由である。
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