2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03465
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
油納 健一 広島大学, 法務研究科, 教授 (20325236)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不当利得 / 使用利益 / 知的財産 / 損害賠償 / 無体利益 / 無形利益 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、本研究を遂行するにあたり、我が国において何故に公平説は衰退し類型論が台頭することになったのかを明らかにしておく必要があった。そこで、ローマ法からドイツ法を経て、現在に至る我が国の不当利得法学説を考察することにより、まず、公平説にはどのような問題があったのか、つぎに、類型論がいかに公平説を克服して台頭したかを解明した(拙稿「不当利得法における公平説の衰退と類型論の台頭(1)~(2・完) ―ローマ法から現在に至るまでの学説を中心に―」広島法学41巻3号61-67頁(2018年)、42巻1号161-177頁(2018年))。
つぎに、“有体物の無断使用”に関するドイツ不当利得法学説(差額説・割当内容説)を1970年以前の学説に限定した上で、詳細に分析・検討し、“侵害者の返還義務の対象は何か”・“侵害者の「使用利益(使用料)」をいかに算定するか”という二つの点を明らかにした(この課題に関する拙稿は令和元年度の秋までに公表する予定である)。
なお、本研究の課題が、“不当利得法に基づく知的財産権保護システムの構築”であるにもかかわらず、平成30年度にあえて“公平説と類型論”及び“有体物の無断使用に関するドイツ不当利得法学説”を研究したことには理由がある。まず、前者については、ドイツ類型論を参考にする際には、我が国類型論の公平説に対する優位性を確認しておく必要があった。つぎに、後者については、"有体物の無断使用"の場合と"権利の無断使用"の場合(知的財産権侵害の場合)とは、物と権利の違いがあるのみであり、問題の本質にほとんど差異がない。そこで、"有体物の無断使用"について蓄積された研究を応用することによって、"権利の無断使用"について適切な解決方法を探ることは、本研究においてとりわけ重要な意義があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、計画通り研究を遂行することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、1970年以前の学説に限定した、“有体物の無断使用”に関するドイツ不当利得法学説(差額説・割当内容説)を、令和元年度の秋までに公表する。
つぎに、侵害利得における“有体物の無断使用”に関するRG・BGH判決を詳細に分析・検討し、“侵害者の返還義務の対象は何か”・“侵害者の「使用利益(使用料)」をいかに算定するか”という二つの点を明らかにする。検討の対象を1970年以降の判例に限定し、本年度内にこの作業を完了させることを目標とする。
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Causes of Carryover |
図書費が当初予想していた金額よりも安価であったため。残額は、次年度、図書費として使用することを予定している。
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Research Products
(2 results)