2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K03469
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
牧 真理子 大分大学, 経済学部, 准教授 (60648054)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 事業再生 / 組織再編 / 債権者保護 / 会社分割 / 事業譲渡 / 債権者平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、会社分割や事業譲渡が事業再生のなかでどのように利用されるのか、債権者保護の観点から、ドイツ法を比較対象として検討を行うものである。 平成31(令和元)年度は、これまでの研究をもとに、事業再生における会社分割や事業再生の利用のあり方について、本研究が比較対象としているドイツ法の検討を中心に行った。 具体的には、文献研究および「事業再生と債権者保護」という題目で研究会報告(北海道大学民事法研究会、2019年10月11日)を行い、ドイツの議論状況について検討した。ドイツの事業再生の状況は十分に明らかにすることはできなかったが(本年度の検討対象とする。)、ドイツの組織再編法や倒産法には事業姿勢における組織再編を促進しようという目的があり、学説上、事業再生を行う会社の経営破綻状況はいくつかの段階に分けられること、事業再生としての組織再編が利用できるかは債権者と株主の態様に依る部分が大きいこと、会社がどのような状況にあるか、その段階に合わせた債権者保護のあり方が整理されるべきであることを確認した(現在、上記の結果から示唆を受け、日本法の議論へ貢献できるよう、検討結果をとりまとめている段階である。)。 なお、本研究の一部として、組織再編によるのれんの処理について、債権者保護への影響の有無や役員の責任について検討し、研究会報告も行った(「のれんと分配規制」九州大学産業法研究会、2019年11月16日)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記研究結果を公表する手段として、比較法学会第83回総会の個別報告にエントリーしており、あわせて学内紀要に論文を投稿する予定であった。論文執筆はやや遅れているが、概ね形は見えてきている段階にある。比較法学会第83回総会は、感染症の影響により中止となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定の学会報告を経た研究のさらなる深化・展望を見極めについては、他の研究会参加等、代替を検討する。そして、最終年度のとりまとめとしてドイツ法の分析と日本法への落とし込みを発展させ、理論的な分析を進めることとしたい。
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Causes of Carryover |
当初予定から1年延長し、研究の発展を目指すよう計画変更を行ったため、物品費および旅費に次年度使用額が生じた。学会や研究会参加、資料渉猟のための旅費を今年度に回していたが、社会状況により、それらがかなわない可能性が高い。そのため、適宜、旅費から物品費に費目変更を行い、書籍や資料取り寄せを大幅に増やすことで、研究を発展させる。今年度に繰り越した物品費は、書籍購入(主にドイツ語文献)にあてる。
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