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2019 Fiscal Year Research-status Report

Civil Liability for Unknown Risks: Decision under Risk/Uncertainty and Civil Liability

Research Project

Project/Area Number 17K03476
Research InstitutionTokyo Keizai University

Principal Investigator

永下 泰之  東京経済大学, 現代法学部, 准教授 (20543515)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords不法行為法 / 製造物責任法 / 過失責任手技 / 意思決定 / リスク / 不確実性 / 法の経済分析
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、行為者にとって認識可能性のない「未知のリスク」が当該行為者の意思決定にどのように影響し、その結果として生じた「損害」に対して、当該行 為者の法的責任(の配分)はどのようにあるべきかを(再)検討し、もって今日における過失責任主義のあり方を模索するものである。
2019年度は、研究最終年度でもあることから、まずはアメリカ法とりわけ法の経済分析の観点からの検討を行った上で、最終的に論文とする予定であった。しかしながら、2019年度から新たに学部教務主任に任ぜられ、かつ、教育負担の削減がなされなかったことから、研究計画に遅れが生じ、結果として、研究機関の延長を申請し、次年度に種々の検討を行うこととした。
そのような状況において、2019年度は、「人身損害賠償請求権の優先弁済の可能性」について検討を進めた。これは、一定条件下では人身損害賠償請求権が一般債権に劣後するという問題である。すなわち、破産法上、不法行為債権者は一般債権者に過ぎず、優先的な地位を有しないため、被害者は損害賠償請求権につき満足を得ることができないというものである。検討を進めたところ、解釈論による解決のみでは困難であり、何らかの立法的措置を要することが明らかとなったが、同時に、損害賠償請求権はいわゆる先取特権とはされておらず、人身損害に限って先取特権化することも困難であることが明らかとなった。他方で、商法824条は、船舶先取特権を規定するところ、同条1号において、「船舶の運航に直接関連して生じた人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権」を先取特権としている。すなわち、船舶の運行に係るものに限定されているが、人身損害賠償請求権を先取特権としている。そうであるならば、民法においても、人身損害請求権に優先弁済効を認めることもありうるのではないだろうか。今後の検討を要する課題である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2019年度の研究は、研究計画よりやや遅れている状況にある。2019年度から学部教務主任に任ぜられたため、委員会等の学内行政に関する業務で多忙となったほか、役職者の担当授業数減免措置があるところ、学内の諸事情から一切の減免措置が認められなかったため、教務主任業務とあわせて極めて多忙になり、研究を計画通りすすめることが困難となった。そのため、当初計画を変更して、補助事業期間の延長申請を行った。
また、ドイツ法における開発危険の抗弁につき、新規に調査すべき事項が発生したため、ドイツ渡航を計画していたところ、コロナウィルス感染症対策のため、同渡航計画を実施することができなくなった。

Strategy for Future Research Activity

補助事業期間の延長申請が認められたため、2020年度は、2019年度に進められなかった研究計画を遂行する予定である。しかしながら、目下コロナウィルス感染症対策のため、研究の遂行が極めて限定されていることから、さしあたり、「研究実績の概要」で述べた人身損害賠償請求権の優先弁済の可能性について、商法824条1号との関係につき、検証をすすめる予定である。
また、2019年度ドイツ渡航計画を実施することができなくなったため、2020年度に改めて同渡航計画の実施を検討していたが、現在(2020年6月11日)においても、EU圏外からのドイツ渡航は禁止されており、今後の動静も不透明であることから、ドイツ渡航は断念し、代わりにドイツ法のデータベースを契約した(BeckOnline)。これを用いて、検討を実施する予定である。

Causes of Carryover

調査研究および資料収集のため、ドイツに渡航する計画であったが、コロナウィルス感染症対策のため、同計画を実施することができなくなったため余剰が生じた。
可能であれば、2020年度にもドイツに調査研究に赴きたいが、現在の状況では困難であることが予想されることから、書籍に購入費に当てる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 自転車サドルポストの製造上の欠陥(東京高判平30・7・25)2019

    • Author(s)
      永下泰之
    • Journal Title

      現代消費者法

      Volume: 45号 Pages: 87,92

  • [Presentation] 責任無能力者の監督者の責任2019

    • Author(s)
      永下泰之
    • Organizer
      交通事故民事裁判例集創刊50周年記念出版座談会
  • [Book] 交通事故損害賠償の軌跡と展開:交通事故民事裁判例集創刊50周年記念出版2019

    • Author(s)
      不法行為法研究会編
    • Total Pages
      578(56-73)
    • Publisher
      ぎょうせい
    • ISBN
      9784324106556

URL: 

Published: 2021-01-27  

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