2017 Fiscal Year Research-status Report
Ensuring Effectiveness of balancing the Companies Law and the Corporate Governance Code
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17K03480
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
坂東 洋行 早稲田大学, 総合研究機構, 客員上級研究員 (60772382)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 会社法 / プリンシプル / 自主規制 / コーポレートガバナンス / 取締役の義務 / ステークホルダー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、前半は早稲田大学図書館および各ウェブサイトにおいて先行論文や関連データの収集および整理を行った。その対象は、英国のプリンシプル、コーポレートガバナンスの発展の経緯、取締役の対会社責任となる受託者責任、対株主責任となるスチュワードシップの解釈や日本法との差異であり、その概要を同年6月の証券経済学会において、「金融規制におけるプリンシプルとフィデューシャリー・デューティー」をタイトルに個別報告を行った(個別報告を基に同タイトルで論文を公刊(証券経済学会年報別冊52号、2018年)。 同年は、英国において会社法改正、および会社法改正を踏まえたコーポレートガバナンス・コード(以下「コード」)改訂が着手されたことから、9月に英国法上の取締役の義務について先行研究が優れている、リーズ大学のKeay教授、ブルネル大学のResiberg教授を訪問し、両大学の専任教員グループとのワークショップを実施し、わが国の会社法とコードの展開、比較法における英国会社法への期待を当方からプレゼンし、出席者との活発な意見交換を行った。日本からの日本法解釈の情報発信ばかりではなく、英国における取締役の義務履行とプリンシプル違反の場合のエンフォースメントの可能性についての意見聴取と双方向の関係を構築することができ、今後の国際交流や共同研究への発展の可能性を深めることができ、大きな成果であった。 英国への調査出張は、英国大学とのワークショップだけではなく、会社法改正を所管するBEIS、コードを所管するFRCを2回訪問し(同年9月、平成30年3月)、英国法における会社法とコードの適用範囲と関連性および足元の改訂作業について聴取した。また、市場におけるエンフォースメントを所管するFCAにも訪問し(同年9月)、プリンシプル違反者のエンフォースメントの手法について聴取し、整理することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
証券経済学会での研究報告および研究論文の公刊は、前半のデータ収集、文献整理の集中実施により前倒しで実施できた。会社法所管のBEISやFRC、FCA等、当初予定していた政府機関・当局へも順調に訪問ができ、必要な情報を聴取できている。 当初予定は1回の英国調査出張であったが、航空運賃および宿泊費の効率的な支出、基金の一部前倒しにより、2回実施でき、IALS等大学図書館および大英図書館にて議会の議事録等、関連論文のデータを収集できる機会を作ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
関連政府機関および英国の学者との円滑な関係が構築できているため、英国における会社法改正およびコード改訂の機会をうまく活用し、経費の圧縮による英国出張調査の頻度を増やし、双方向の情報交換に努めるとともに、取締役の義務をめぐる英国判例について体系的に整理するよう心がけたい。
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Causes of Carryover |
予算効率化の観点で、航空運賃が廉価な期間を選択し、購入したことによる未消化予算金額発生。繰越も含め、30年度内で計画的に海外出張調査に充当予定。
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Research Products
(5 results)