2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K03485
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
松田 佳久 創価大学, 法学部, 教授 (40388913)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 条件付権利 / 所有権取得期待権 / 所有権留保 / 譲渡担保 / 所有権的構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究発表:条件付権利の担保化につき、2017年4月の現代担保法研究会にて発表し、同様の内容をNBL1102号76頁(「条件付権利の担保化を考える-機械設備における所有権取得期待権の譲渡担保化を中心として-」)掲載したことにより、研究内容を担保法研究者に知らしめるとともに、事実上、研究をスタートした。 2.調査:①公有水面埋立法における竣功認可前使用権:9月には、国土交通省港湾局総務課の夏井君夫氏に、所有権取得期待権と考えられる公有水面埋立法における竣功認可前使用権について質問調査を実施。②土地区画整理事業における仮換地と保留地予定地:街づくり区画整理協会に所有権取得期待権と考えられる土地区画整理事業における仮換地と保留地予定地について聴取した(9月)。③所有権留保における所有権取得期待権者の譲渡担保化にあたっての機械器具の中古市場での処分可能性:大手リース会社への聞き込みや訪問調査を実施(10~11月)。④銀行への調査:銀行が所有権留保における条件付権利を譲渡担保に供して融資をするか否かにつき、静岡銀行に訪問調査を実施(11月)。この調査の結果、本研究のテーマである「条件付権利の譲渡担保化」にあって、法的スキームについては理論的にも実務的にも可能であることがわかった。 3.研究発表:法律実務研究会(同志社大学、10月)、最新判例研究会(法政大学、2018年1月) 4.研究論文作成:上記の調査結果に基づき、1のNBL掲載の研究論文を修正し、新たな論文を作成。2018年7月の創価法学に掲載予定。 5.判例研究:自動車の所有権留保売買に関する新たな判例(最一小判平29・12・7金判1533・36(2017))に私見(所有権留保を所有権的構成で捉える)が適合するものであることを示す判例研究を実施。2018年10月の創価法学およびNBLに掲載予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年度は文献収集が中心の計画であったが、文献収集だけではなく、2018年度に実施する予定であった公有水面埋立法における竣功認可前使用権の調査、土地区画整理事業における仮換地と保留地予定地の調査、所有権留保における所有権取得期待権者の譲渡担保化にあたっての機械器具の中古市場での処分可能性の調査(大手リース会社への聞き込みや訪問調査を実施)、銀行への調査(一部)を実施できたことから、計画以上に研究は進んでいるものといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.インターネットによるアンケート調査の実施:2018年4月後半から5月初旬にかけて、銀行の融資担当者とカーディーラーに対し、インターネットによるアンケート調査を実施する予定(銀行の融資担当者には、条件付権利を譲渡担保の目的物として融資をするか否かなどの質問調査、カーディーラーに対しては、留保所有権の有する条件付権利の事実上の公示となり得る保全仮登録をするか否かなどの質問調査)である。 2.研究出張:8月~9月初旬にかけ、ドイツ・ゲッティンゲン大学図書館に文献収集のための研究出張を予定である。 3.論文作成:条件付権利の譲渡担保化にあっては、対抗要件の具備ができないことが欠点であったが、アンケート結果に基づくことになるが、自動車の所有権留保にあっては保全仮登録(仮登記への付記登録)が、機械設備の所有権留保にあっては動産債権譲渡特例法に「仮登記」を立法することにより、当該仮登記(仮登記への付記登記)が、事実上の対抗要件になり得る旨、それにより条件付権利の譲渡担保の目的物として利用が促進される旨の研究論文の作成をする。
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Causes of Carryover |
3,596円と若干余ったがほぼ使用計画どおりである。 翌年度は海外への研究出張とアンケート調査(2件)があり、ほぼ計画どおりの使用となる予定である。
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