2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03485
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
松田 佳久 創価大学, 法学部, 教授 (40388913)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 条件付権利 / 所有権取得期待権 / 所有権留保 / 譲渡担保 / 所有権的構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.文献調査 2018年8月19日から24日までドイツ ゲッティンゲン大学の図書館にて文献の調査を実施した。収集した文献は以下の通り。①Seongho Kim, Die Entwicklung des Anwartschaftsrechcts beim Kauf unter Eigentumsvorbehalt,2017. ②Mohr Siebeck, Immaterialguterrechtliche Anwartschaftsrechte, 2009.③Mohr Siebeck, Kunftige Forderungen, 2014. ④Daniel Rodi, Die bedingte Zunstimmung,2016. 2.インターネット調査(2018年6月)所有権留保における留保買主の有する所有権取得期待権の譲渡担保化の実施につき、銀行担当者にインターネットによるアンケート調査を実施。 3.研究発表(1)最新判例研究会(法政大学)にて発表 発表論文「留保所有権の法定代位-最一小判平29・12・7民集71巻10号1925頁を題材として-」 (2)現代担保法研究会(大阪・淀屋橋弁護士法人)にて発表 上記と同じ論文 4.文献掲載 (1)NBL1139号201頁~108頁(2019年2月1日号)上記タイトルの論考が判例研究として掲載。 (2)創価法学48巻1号27頁~66頁(2018年7月号)論文「機械設備における所有権取得期待権(条件付権利)の譲渡担保」 (3)創価法学48巻2号171頁~177頁(2018年11月号)論文「動産債権譲渡特例法と仮登記制度-所有権取得に関する条件付権利の仮登記-」 (4)創価法学48巻3号83頁~97頁(2019年3月号)論文「所有権的構成における留保所有権の法定代位-最一小判平成29・12・7民集71巻10号1925頁を題材として-」
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年度に、計画にはなかったカーディーラーへのインターネットによるアンケート調査を実施でき、さらに大手リース会社や銀行など、必要な調査を前倒しに実施できたことから、2018年度は本来ならば2019年度に実施することになっている調査結果の分析を論文にまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.本研究を後押しする最高裁判決の研究 最二小判平30・12・7金判1562号18頁は、所有権留保目的物が譲渡担保に供された場合の譲渡担保の効力を否定した。譲渡担保設定者である留保買主は未だ代金を完済していないことから留保目的物の所有権を取得していない。所有権を有していない譲渡担保設定者が譲渡担保権を設定できず、譲渡担保の効力はないと判断した。 本判例は、所有権留保の法的構成につき重要な判断をしたものであり、目的物の所有権は留保売主が有し、留保買主は所有権を有しないことを前提とする本研究を後押しするものである。まだ判例評釈や判例研究は少ないが、今後多くの判例評釈や判例研究が出てくることが想定される。それら評釈や研究を踏まえ、本研究の内容である所有権取得期待権(条件付権利)の譲渡担保化が実現できる所有権留保の法的構成を確立させるべく、本判例の研究を行い、発表をしていく。 2.他の法的構成によっても、本研究の対象である所有権取得期待権(条件付権利)の譲渡担保化と同様の効果が得られるかどうかについても研究する。 所有権留保につき、所有権取得期待権(条件付権利)の譲渡担保化が達成できない所有権留保の法的構成が優勢になると本研究そのものが無駄になることから、この点については研究が必要である。
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Causes of Carryover |
フランスへ聞き込み調査を実施するために出張するべきところ、残りの金額が少なくなったことと、聞き込み調査は別の機会にやることにしたために、2019年度に使用する金額が(フランスへは出張できないものの)比較的使用できる金額が多めになった。
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