2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Transfer Collateralization of Real Right of Expectation
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17K03485
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
松田 佳久 創価大学, 法学部, 教授 (40388913)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 物権的期待権 / 所有権留保 / 譲渡担保 / 非典型担保 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の提唱する物権的期待権は、抵当権等の担保権設定に必要な不動産、設備機械を所有しない中小企業の運転資金等の短期・少額の(新規の)資金融資等の担保目的物としての意義を有するものと思われます。本研究は、所有権留保における留保買主等の有する物権的期待権(代金完済により所有権を取得できる期待権、別の捉え方では停止条件付所有権取得権)を、ドイツと同様にわが国でも中小企業等が短期・少額の資金融資を銀行等から受けるために譲渡担保に供することができ、債務不履行の場合でも実効性を有することを立証を目的としており、本研究が成果として発表されることにより、金融機関等に認知され、物権的期待権の譲渡担保による資金融資が普及すると思います。本研究の基礎であるドイツの物権的期待権、ドイツの物権的期待権の考え方の導入を志向するフランス、同じく類似性のあるフランスの受託者所有権、虚有権との比較検討(信託協会による平成25年度信託研究助成)も行っています。これによりわが国における物権的期待権の法的性質を確認することができます。さらに物権的期待権(物的使用収益権を伴なう停止条件付権利)は、所有権留保・譲渡担保以外の場面でも存在することを確認しました。 最終年度(2022年度)の研究成果は以下のとおりです。単著「物権的期待権説を考える-所有権留保目的物たる建設機械の即時取得事案を契機として-」法学志林120巻3号49頁~74頁(2023年1月) 研究期間全体を通じて実施した研究成果は以下のとおりです。公益社団法人 全国銀行学術研究振興財団 2020年度 刊行助成(助成金額140万円)を受け、助成著書(単著)『物権的期待権の譲渡担保化-中小企業の資金融資を中心として』全396頁(日本評論社発行、2021年8月)を発行しました。この本の中にはそれまでの研究成果が含まれています。
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