2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K03489
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
吉澤 卓哉 京都産業大学, 法学部, 教授 (50708360)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 傷害保険 / 原因事故 / 偶然性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、本研究に関して発表した2論文(「傷害保険における原因事故の捉え方について」産大法学(京都産業大学)51巻2号(2017年7月)1-62頁、および、「傷害保険における2種類の偶然性―原因事故発生の偶然性と結果発生の偶然性」産大法学52巻2号(2018年7月)29-142頁)を基にして、傷害保険の約款構造に関する著書を作成すべく原稿の作成を行った。 著書原稿作成にあたっては、上記2論文を再度精査して、必要な見直しや修正を行ったうえで、本文原稿を作成した。また、書籍全体の構成を検討し、判例索引および事項索引の原稿も作成のうえ、出版社に入稿した。その後、校正を繰り返し、2020年3月に単著として、『傷害保険の約款構造 ―原因事故の捉え方と2種類の偶然性―』(法律文化社)を発刊することができた。 傷害保険という単独の保険種目に関する著書ではあるものの、傷害保険の基本的な約款構造について、一つの一貫した考え方を世に問うことができたものと考える。特に、従来、ほとんど議論がなされてこなかった、傷害保険における原因事故の捉え方に関する論点と、傷害保険の原因事故に求められる偶然性要件には2種類のもの(原因事故発生の偶然性と結果発生の偶然性)があるが、両偶然性の相違でいかなる差違が生じるかという論点について、一定の分析、検討、考え方の提示を行うことができた。もちろん、管見にも不備が多々あろうが、本書に対する批判等や、本書を契機とした議論が今後期待されるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、初年度(2017年度)以来、順調に研究が進捗している。そのため、本年度において、研究成果を単著にまとめる時間的余裕が生じたことが主たる理由である。また、本学の出版助成を得ることができたことも、書籍刊行を円滑に実施できたことの大きな推進要因であった。
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Strategy for Future Research Activity |
書籍刊行により、研究成果の一応のとりまとめができた段階にある。しかしながら、管見に不備等があり得るであろうし、異なる考え方も十分にあり得るところである。そこで、2020年度は、関係者(特に、傷害保険を引き受けている保険会社、傷害保険約款(標準約款)を作成している損害保険料率算出機構、保険関係の弁護士等)に当該書籍を読んでいただいたうえで、意見・批判等を聴取し、さらに理論の修正等を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、当初は3年計画であったが、研究成果に関する意見・批判等を聴取すべく、研究期間を1年間延長した。そのため、次年度使用額が発生している。 次年度においては、研究成果(刊行した書籍)を、研究段階でヒアリング等を行った関係者に配布のうえ意見や批判等を聴取する予定であるが、そのための費用(書籍購入費用、書籍送付費用、交通費等)として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)