2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Causal Accident Concept of Personal Accident Insurance
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17K03489
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
吉澤 卓哉 京都産業大学, 法学部, 教授 (50708360)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 傷害保険 / 原因事故 / 偶然性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.刊行書籍に対する批判・意見の聴取 研究成果をまとめた書籍を2019年度末に刊行したが、当該書籍においては様々な新しい考え方を提唱した。具体的には、傷害保険においては原因事故について急激性・偶然性・外来性の具備が求められるが、原因事故の捉え方について十分な議論がなされてきていない。そこで、小生なりの原因事故の捉え方を提示した。また、傷害保険の原因事故に求められる偶然性には、2種類のものがあるが(原因事故発生の偶然性と結果発生の偶然性)、両者を区別せずに議論がなされている、あるいは、前者の偶然性のみを念頭に置いた議論のみがなされていることがあることを指摘した。 このように従来、十分に議論されていない論点について新しい考え方を提唱したため、2020年度は、この分野に詳しい学者、弁護士、保険実務家に当該書籍を送付したうえで、批判および意見を賜った。また、日本保険学会に同書の書評作成を依頼した結果、学者(立命館大学の竹濵修教授)の書評が、学会誌である保険学雑誌に掲載された(2020年9月号)。 以上の批判・意見や書評を踏まえて、研究成果の見直しを行った。 2.人身傷害保険への拡張 傷害保険における偶然性の捉え方が自動車保険の人身傷害保険にも該当するか否かを検討すべく、関連裁判例(福岡高判令和元年6月26日自保ジャーナル2054号135頁)の裁判記録を閲覧したうえで(2020年7月)、判例評釈を作成した(2021年1月刊行の産大法学に掲載された)。検討の結果、傷害保険における偶然性の捉え方が人身傷害保険にも該当することを指摘したうえで、傷害保険約款における偶然性と財産保険約款における偶然性を異なるものと判例が解釈しているが、後者における偶然性の捉え方を再考すべきであることを提唱した。
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