2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K03490
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
舩津 浩司 同志社大学, 法学部, 教授 (80454479)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 株式買取請求 / 価格決定申立 / 二段階キャッシュアウト |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の初年度に当たる平成29年度においては、退出権制度と密接に関係する株式買取請求制度(価格決定制度)に関して極めて重要な判例が相次いで出され、退出権制度の機能の整理を行うためにも有益であることから、これらの裁判例の分析を重点的に行った。すなわち、公開買付けを前置して行われたキャッシュアウトにおける二段階目の全部取得条項付種類株式の取得の対価の価格について、公開買付価格と同額とすべきであるとした最決平成28年7月1日民集70巻6号1445頁について、学説上は株主の機会主義的行動を抑止することを目的とした判例法理であると分析するものがほとんどであったところ、そのような分析は最高裁の決定要旨からは導けないものであり、最高裁として学説が評価するよりも少数株主側に有利になる形での株式買取(価格の決定)が認められると考えている可能性があることを指摘した。 また、株式交換に反対の株主が株式買取請求権を行使したものの、価格決定されないまま価格決定申立期間が経過したために結局株式買取請求が撤回された場合に、当該株主をどのように処遇するか(いくらを返還すべきか)が問題となった東京高判平成28年7月6日金判1497号26頁についても、学説が分析の軸として用いる「株主の機会主義的行動の抑止」という観点とは別の観点から結論が導ける可能性を指摘した。 他方、並行してすすめていた外国法の状況調査に関しては、上場廃止時に発行会社に公開買付を強制する形で株主に退出権を付与するドイツ取引所法(Boersengesetz)39条2項の立法に至るまでの議論の経緯を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
株式買取請求(価格決定申立)制度のわが国における位置付けを整理することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、より比較法に重点を移して研究を推進していきたい。
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