2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03490
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
舩津 浩司 同志社大学, 法学部, 教授 (80454479)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 少数株主保護 / 株主の退出権 / 株主総会 / 商業登記 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度は、株主保護の一つの方策である退出権の位置付けおよびその必要性を明確にするために、退出権以外の少数株主保護のための他の手段の分析を行った。 株主が自らの不利益に直面して、自らの保有する株式を会社等に買い取らせる等によって当該会社から退出するというのが、少数株主保護としての株主の退出権であるが、会社との関係が断ち切られるという点において、退出権は少数株主保護の最終手段として位置付けざるをえない。そこで、現行法において退出権の多くは(1)会社の基礎的変更を実施するか否かを問う(2)株主総会決議とリンクして付与されているという点を手掛かりとした研究を行った。 まず、(1)の会社の基礎的変更という要素に関して、会社の基礎的変更自体の効力を争う会社組織行為の無効の訴え(会社法828条)の実効性を高めるという代替的方策について分析をした。特に、登記官という行政機関が商業登記の受理の審査を通じて一定程度適法性が担保されているという点を踏まえて、そのような登記の予防的機能が、特に組織行為の公正性(対価の適正性等)を確保することによって少数株主保護の機能を果たしうるかについて分析を行い、商業登記を通じて公正性そのものを確保することは難しいものの、商業登記には私人が組織行為の公正性を争うことを支援する機能を果たしうることを示す学会報告を行った。 また、(2)株主総会決議の成立という要素に関して、現行の株主総会の実務について、理論的に期待されている役割と現実的に果たしている機能との乖離を指摘する論稿を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた比較法研究は次年度回しになったものの、最終年度に必要となる、少数株主の救済手段における退出権の位置付けを明確にする研究ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は比較法研究を中心に行う予定である。
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Causes of Carryover |
比較法研究の順番を入れ替えたことにより、旅費の未使用部分が生じた。次年度に使用する予定である。
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