2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03494
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
若林 三奈 龍谷大学, 法学部, 教授 (00309048)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不法行為法 / 損害論 / ドイツ民事責任法 / 遺族慰謝料請求権 / 法の平準化 / 原賠法 / 福島原発事故賠償 / 営業損害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画に従い、以下の課題について順次一定の成果を得ている。 第1に、各種不法行為による生命侵害の場面での損害賠償について、ドイツで遺族慰謝料請求権導入法が2017年5月に成立、同年7月より施行されたことから、本法によるドイツ民法典844条をはじめとするドイツの各種民事責任法(=無過失責任立法)の改正について、ヨーロッパにおける法の平準化の視点から、ヨーロッパ各国法の立法的・司法的展開およびドイツ国内のこれまでの法状況と学界等での議論を整理し、同法導入の現代的意義を検討し公表した。 第2に、無過失責任立法の一つである原子力損害の賠償に関する法律(いわゆる原賠法)については、一方で、福島第一原発事故賠償にかかる集団訴訟にかかる損害論について、とくに2017年3月の前橋地裁判決以降、約1年の間に全国の地方裁判所において判決が下された各集団訴訟(群馬、千葉、生業、小高、京都、首都圏、浜通り避難者の7件)に着目し、これら各判決おいて展開された損害論について、原告らが主張する「包括的生活利益としての平穏生活権」の内実、とくに地域コミュニティ等を含む生活基盤の喪失・毀損(いわゆるふるさと喪失・変容による損害)に焦点をあて、問題点を整理、分析し、研究報告を行うとともに、適宜、公表した。他方で、福島第一原発事故以前の従来の原賠法関連の訴訟(敦賀原発事故、東海村臨界事故)における損害論についても営業損害を中心に整理し、公表を予定している。 第3に、併せて環境法領域における近時の判決を手掛かりに、とくに平穏生活権並びに包括請求方式との関係で、損害論の課題を分析し、その一部を公表し、または公表を予定している。 第4に、取引的不法行為(とくに消費者取引および金融商品取引)についても、前年度に整理した判例の整理・検討をさらに進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究出張等の一部を次年度に実施する等の一部計画の変更はあるが、概ね当初の研究計画に従い、研究作業を進め、適宜、成果をまとめ公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
原発事故、交通事故、取引的不法行為、製造物責任等、多様な不法行為のもとで展開される各損害論の多角的かつ横断的研究を引き続き進める。そのため、研究計画に従い、本研究テーマに関連する文献資料・情報収集を継続して行い、理論的検討を深めるとともに、実務家や海外研究者らとの交流を通して、実践的かつ比較法的検討を深めていく。そのため関連する文献資料の購入、また昨年度実施できなかった研究会や関連施設・研究所への出張を予定する。
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Causes of Carryover |
2018年度に予定していた研究出張の一部を次年度に実施することとしため。
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Research Products
(4 results)