2021 Fiscal Year Research-status Report
医療事故調査制度等の運用による医療訴訟の役割変容と機能分担
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17K03502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑中 綾子 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 客員研究員 (10436503)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療事故調査 / 法の役割 / 医療安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年10月から開始した医療事故調査制度の運用実態について、インタビュー調査や文献調査を行った。報告数が開始前の予測に比べ伸びておらず、もっと数が伸びてもよいのではという声がある一方で、すでに医療現場の疲弊が深刻なのに医療事故調査に資源を振り向けることが困難との声もある。015年の開始から6年が経過し、見直し時の時期にある。どのような見直しが必要となるか、これまでの現場や司法との相互影響を知り、今後につなげることを目的とする。 医療事故調査制度の「医療事故」という言葉が一般的には交通事故のような誰かの「失敗」によっても たらされたものというイメージを含むことで、遺族にも医療関係者の中での事故調査の実施に一種の躊躇や不安・不信の感情を芽生えさせていることや、医療事故調査の手順が医療機能評価機構の報告制度等に比べて重く、担当者にとって大きな負担でありいくつもこなすということが困難であり、事案の内容によってその手順の軽重をつけることが運用のカギなので はないかとの点が指摘された。 また、医療事故調査制度に則った報告および調査を行う一連の業務の中で、病院スタッフの 中に一体感を生むことや安全管理部門への関心を生むなどのメリットもあることも理解された。司法との関係においては、実際には報告書を遺族に提示したことで、訴訟が促進されたり、あるいは訴訟にならなかったという直接的な経験をしたという語りがなかった。事故調査報告がなされることで遺族の納得が得られた経験や、訴訟において患者にも医療者にも客観的な証拠として報告書が利用されることのメリットがあったことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度中に本研究を終了させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにすべての予算を使い、調査研究自体は終了している。次年度は本研究の報告を行う。
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Research Products
(3 results)