2019 Fiscal Year Research-status Report
地域資源の創出と利活用における知的財産法の役割についての基礎的考察
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17K03506
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小島 立 九州大学, 法学研究院, 准教授 (00323626)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域資源 / 知的財産法 / 地域内循環型経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「まちづくり」や「地域再生」に関する近時の議論で、地域内での内需拡大と資本の循環の重要性が説かれていることを踏まえ、「地域内循環型経済」の理論モデルを精緻化するとともに、それと知的財産法の接合のあり方を探求する。 地域資源の創出と利活用に影響を与えるものとしては、いわゆる「シェアリングエコノミー(共有型経済)」の動向がある。令和元年度は、「地域内循環型経済」についての理解を深めるに当たり、「共有型経済」の理論モデルが与える影響について考察を行った。 また、本研究では、地域資源の創出と利活用の実態を知るために、これまでと同様に、主に①農業、②工芸・デザイン、③建築・ランドスケープを対象としてフィールドワークを積み重ねながら考察を行なった。 とりわけ地域ブランド等の創出を目指す活動が行われているにもかかわらず、地域内において関係当事者間に対立が生じ、一部のアクターが排除される状況(いわゆる「地域内アウトサイダー」の問題)について、博多織や八丁味噌等で顕在化した事例を調査した。そこでは知的財産権の所在がかえって当事者間の緊張関係を高めていることが観察されており、その問題をどのように乗り越えるべきかということに向けた理論化に取り組んだ。 そして、本研究の最終年度に当たることから、これまでの理論的検討を踏まえて、地域資源の創出と利活用において知的財産法が果たすべき役割について、一定の見通しを示すことを目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一部のフィールドワーク、文献調査等を遂行できなかった。そのため、令和元年度が本研究の最終年度であったものの、予算額の一部を事実上繰り越し、令和2年度に引き続きそれらの作業を行い、本研究のまとめを行なうことを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、令和元年度に本研究の最終的な取りまとめを行えなかった。感染状況が落ち着いた段階で、令和元年度に実施できなかったフィールドワーク、文献調査等を行い、本研究のまとめを行いたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、一部のフィールドワーク、文献調査等を行なうことができなくなったため、次年度使用額が生じることとなった。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着けば、次年度使用額の研究費を用い、令和元年度に行えなかったフィールドワーク、文献調査等を実施し、本研究のまとめを行いたい。
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