2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Professional Responsibility of Lawyers in Japan - Focusing on Confidentiality and Conflict of Interest
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17K03516
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石田 京子 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 准教授 (10453987)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 弁護士倫理 / 専門家責任 / プロフェッション / 弁護士制度 / 守秘義務 / 利益相反 / 専門家倫理 / 法律家 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、アメリカ、ドイツ、日本における利益相反と守秘義務の在り方について検討を深めた。同時に、日本における弁護士倫理の現代的課題を引き続き検討した。さらに、日本における過去の法曹制度(明治8年司法職務定制以降)についても検討し、タテとヨコの軸から、弁護士倫理のコアヴァリューと呼ばれる守秘義務、利益相反についての研究を深めることを心掛けた。 比較法的視点については、平成30年11月に大阪弁護士会において報告を行い、実務家との対話の機会を得た。日本における現代的課題については、平成31年1月より、有斐閣の法律雑誌『ジュリスト』において、「新時代の弁護士倫理」という連載のコーディネーター役を務めており、実務家と共に特に若い弁護士をターゲットとした発信を心掛けている。法曹倫理国際シンポジウムでは、米国の法曹倫理の研究者であるDavid Luban氏の守秘義務をテーマとした報告の通訳・翻訳を務め、米国における弁護士の守秘義務の今日課題について理解を深めると共に発信を行うことができた。 また、日本における弁護士懲戒事件の状況について、さらなる実証研究を進めるため、データ入力を行っている。平成31年度前半にはこのデータ入力を全て終了し、分析をさらに進める予定である。 平成30年度も、総じて研究の発信は順調に行うことができたが、最終年である平成31年度は、集大成として、より体系的に、この3年間の研究で得たものをまとめることを意識して研究活動を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の公表はおおむね順調である。主要な法律雑誌で連載の機会を頂けたことも幸運であった。平成29年度にあまり進められなかった、アメリカ、ヨーロッパでの規律に関する検討も進めることができた。もっとも、それでも当初の予定からすると、検討を済ませておきたかった書籍類について、未だ一部手付かずであったり、国際会議や国際的な学術雑誌での報告が前年に比べると乏しかったりするため、総じて「おおむね順調」と評価するのが妥当と考える。 ようやくタテの線、ヨコの線の双方からの弁護士倫理の理論検討の軸が出来てきたように感じており、最終年度はさらにその視点を深めていきたいと考えている。 リサーチアシスタントを雇用したことにより、実証研究の側面においては、データの入力などの時間の軽減が可能となった。 一方で、校務や家庭の事情等により、アメリカ、ヨーロッパでの現地調査の実施が困難であった。メールによる照会や、インターネットでの情報収集等により補完したつもりではあるが、平成31年度も引き続き情報収集と検討にあたりたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成31年度は、比較法的視点についてのさらなる深化を希求したい。引き続き文献調査を基調とすると共に、可能であれば、現地の状況に詳しい専門家へのヒアリングも実施する。 また、日本語、英語での積極的な研究成果の公表を行っていく。学会報告については、本年12月にアジア法社会学会が大阪で開催されるため、その場での研究成果の報告を考えている。加えて、International Journal of Law and Society、または International Journal of the Legal Professionのいずれかもしくは双方において、日本の弁護士倫理の理論的研究、実証研究の成果について公表することを目標としている。
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Causes of Carryover |
予定していたヨーロッパCCBEでのヒアリングが校務と家庭の事情のため、実現できなかったため、旅費分が余剰額となった。主に本年度の英文論文の校正費用として使用する予定である。 加えて、日本で実施予定のヒアリングのテープ起こしや、英文雑誌への投稿のための英文校正費用等、研究活動および研究成果公表のために用いる予定である。
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Research Products
(12 results)