2020 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstructing a theory of "the political": Political theory as a critical activity
Project/Area Number |
17K03526
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
乙部 延剛 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (50713476)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 政治的なもの / 政治的リアリズム / シェルドン・ウォーリン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、大きく分けて2つの作業に取り組んだ。 1)まず、「政治的なもの」の主要な論者に即して、「政治的なもの」の理論のあり方を再検討する作業を行った。この作業については、本研究の初期の段階で行う予定であったが、研究の進行等の事情により、遅れていたものである。重点的に研究したのは、アメリカ合衆国の政治理論の再興を担い、「政治的なもの」を説いた中心人物である、シェルドン・ウォーリンである。乙部延剛「政治理論、政治哲学とマックス・ウェーバー」(『現代思想』48 (17), 2020年)では、ウォーリンの政治理論への態度の特徴を、マックス・ウェーバー、分析的政治哲学、現代の「政治的リアリズム」との比較を通じて浮かび上がらせた。その特徴はなにかといえば、デモクラシーの政治社会のもとで、政治理論が存在する根拠・正当性を絶えず反省的に問うというものである。また、こうしたウォーリンの政治理論への態度が有する可能性については、海外学会で報告をするべく応募中である。 2)また、「政治的なもの」の政治理論が現在有する可能性と、方向性について研究を進め、Nobutaka Otobe, Stupidity in Politics (Routledge, 2020)において発表した。同著では、バーナード・ウィリアムズやレイモンド・ゴイスらが提唱する「政治的リアリズム」が有する非規範的な方向性に「政治的なもの」の政治理論と相通じる要素を見出した上で、「政治的なもの」の動態を把握する理論を素描した。
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