2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Irony of International Consumer Movement
Project/Area Number |
17K03527
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
井上 拓也 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (70291284)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 消費者運動 / 消費者団体 / 消費者政策 / 消費者行政 / 市民社会 / 利益団体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際消費者機構(CI)において、消費者の経済的利益よりもその社会的責任が重視されがちなこと、またそれが先進国よりも豊かではない途上国の消費者団体によって推進されがちなことという皮肉な状況を、消費者団体の2つのモデルの相違によって説明することである。 申請者は、消費者団体を、①物質的便益を選択的誘因として大衆基盤の多数の会員を集める、先進国で主流の顧客消費者団体、および②非物質的便益を選択的誘因として意識の高い少数の会員を集める、北欧などの一部の先進国や途上国で主流の市民消費者団体という、2つのモデルに区分している。CIは、先進国の①によって設立され、現在でも主にそれらによって財政的に支えられている。しかしそこでは、途上国などの②が多数を占めるようになり、消費者の社会的責任が重視されるようになってきた。そして先進国の①は、CIを財政的に支えつつも、CI以外の先進国を中心とする国際団体を設立しているということが、本研究の基本的な仮説である。 本研究は、2019~21年度にコロナ禍に見舞われ、研究に不可欠なデジタル化されていない資料を収集する海外渡航をできなかった。また2021年度以降は、コロナ禍に端を発するワークライフバランス上の問題により、1泊の国内出張すらできない状況に置かれてきた。そのため2021・22年度には、オンライン上で得られたデータに基づき、主として先進国の①による国際消費者運動への寄与などを分析した。 2023年度には、上記の状況の改善を期待したが、そうはならず、本研究の内容を具体的に進めることができず、研究費を支出することもできなかった。結果として、230万円以上の残額を出す形で、本研究の期間を終了してしまった。本研究のテーマ自体の意義は失われていないので、今後は、状況の改善を待ちつつ、同じテーマで研究を再開したい。
|