2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of the Transformation of British Party System under the Multi-level Electoral System
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17K03528
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 康史 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (00323238)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 政党 / イギリス政治 / 政党システム / イギリス労働党 / 比較政治 / 二大政党制 / EU離脱 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては特に次の2点に関して研究を進行させた。第一点は、EUをめぐる社会的分断は、イギリスの政党政治にどのような変化をもたらしたかについての研究であり、EUレベルと国政レベルという形で、マルチ・レベル間での影響関係の検討を、選挙データなどに基づきつつ行った。本研究の成果については、「EUをめぐる分断はイギリスの政党政治を変えたか?」『Voters』69号として発表した。第二点は、主に野党に焦点を当てた形でのイギリス政党政治についての検討である。主にイギリスにおける様々な野党支援の制度について調査したのち、多数決型民主主義という民主主義類型との関係について検討を行った。本研究については、「イギリス政治に見る野党観」『學士会会報』954号という形で、成果を発表している。 研究期間全体を通じては、マルチ・レベルと政党政治との関係という研究課題に基づき、第一にはイギリスにおける中央ー地方関係と国家レベルでの政党政治との関係を、第二には、EU、とりわけEU離脱と国家レベルでの政党政治との関係を検討する研究を遂行した。前者に関しては、1990年代末における分権化改革が、政党政治に及ぼしたインパクトについての検討が中心となり、多党化の進行やそれに伴う府議会レベルでの政党間関係の変化という点について研究を進めた。主要な研究成果として、『分解するイギリス』(筑摩書房)がある。後者に関しては、主にEU離脱がもたらした保守党・労働党内での内部対立と議会政治における混乱に関して、経済的対立と文化的対立という対立軸の二次元化という枠組みに基づいて研究を遂行した。主要な研究成果としては、「イギリスにおける政党間対立の構図と変容」(日本選挙学会報告)などがある。
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