2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Politics of Welfare Reforms toward Free Choice Society
Project/Area Number |
17K03531
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
田中 拓道 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (20333586)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 福祉国家 / 自由選択 / ワークフェア / 排外主義 / 比較政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究計画は、これまでの研究を総括し、研究成果として公表することであった。 第一に、「自由選択」型の政策パッケージと、それを実現する政治的条件については、『リベラルとは何か』という単著においてまとめ、公刊した。政策パッケージとしては、「古い社会的リスク」への対応に関する個人化、労使の話し合いによる労働時間の選択制と労働市場の柔軟化、社会的投資と最低生活保障および社会参加の保障の組み合わせが必要である。これらの政策は、排外主義に対しても一定の抑制効果を持つ。実現の条件としては、リバタリアン的価値観を持つインサイダーとアウトサイダーの政治的連携が重要であることを明らかにした。 第二に、労働市場でのインサイダーとアウトサイダーの二分化を乗り越える政治的条件について、日本とフランスを事例として検証を行った。インサイダーの中でも個人のライフスタイルや就労スタイルの自由な選択を重視する人々(社会文化職、高度サービス職に就く人々)は、個人の選択に合わせた社会的投資と労働市場政策を選好するという点で、アウトサイダーと政治的に連携する可能性を持つ。以上の仮説を、社会調査(ESS、JGSS)および2010年代左派政権の事例から検証した英語ペーパーを執筆し、比較政治学会で報告した。 その他、グローバル化の国内政治への影響、資本主義の多様性に関する比較政治経済学の研究動向をまとめた教科書を分担執筆し、ハーバーマスの福祉国家論に関する論文を共著の本において公刊した。
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