2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03537
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
待鳥 聡史 京都大学, 法学研究科, 教授 (40283709)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 多元的政治制度 / 多数派形成 / 議会 / 大統領制 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は本研究課題の初年度に当たるため、研究実施計画では、大統領制をはじめとする多元的政治制度の下での議会における多数派形成のメカニズムを解明する基礎作業として、先行研究の理論的整理、英語ワーキングペーパーの執筆とそれに基づいた海外・国内での研究会の開催、および日本の地方議会に関するデータセット作成という3つの作業を中心に取り組むことを想定していた。 これらのうち、先行研究の理論的整理については順調に進展しており、論文「ポピュリズムと政治制度」として公表することができた。多元的政治制度における多数派形成について、ポピュリズムという特殊な形態に注目してではあるが考察を進めた。今後さらに内容面をブラッシュアップし、英語での公表も目指している。 海外での研究会開催については、当初予定通り、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学において2018年2月初旬に研究会を行った。一般来聴者を交えたシンポジウム形式になっていた前半には、"Unexpectedly Small Impact?: Considering the Trump Administration's Social and Economic Policies from the Institutional Analysis of U.S. Politics" というタイトルで、今日のアメリカ内政における多数派形成について発表した。後半は、同大学の Yves Tiberghien 准教授、砂原庸介客員准教授と、今後の成果公表の方向性などを含めて検討した。国内では、東京大学のケネス・盛・マッケルウェイン准教授とともに多数派形成についての研究会を開催した。 進捗が順調とは言えなかったのがデータセットの作成である。これは基礎資料の確保に予想以上の困難があったことが原因の1つで、今年度は作成の方法的検討を含め、改めて考えていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画におおむね即した進捗が得られているが、地方議会データセットの作成については、各議会の会期中の会派変動の扱いなどについて統一的な方針を定めることに時間を要していること、またそれに基づいたデータ入力を進められていないことから、予定通りとはいえないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の実施計画にしたがって研究を進める予定である。ただし、データセット作成が予定通りには進展していないため、それを作成することに注力しつつ、国際学会発表については一部変更し、既存のデータセットを活用したものを中心に行う予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度(平成29年度)においては、主として物品費が当初予定より少ない支出になったことが主たる理由である。具体的には、まずデータベースの作成と公開のための電子機器購入がなされなかった。さらに、文献資料の収集等についてより多くの費用が必要となるものと考えられたが、近似した関心を持つ研究者が学内に多かったこともあり、論文や学会報告の準備に着手すると、既に所蔵されている文献が少なくないことが判明した。また、新しい研究成果については電子ジャーナルに所収されている場合も珍しくないが、これらについては個別の費用負担も生じなかった。 次年度(平成30年度)には、本年度に振り向けられなかったこれらの費用が発生する可能性が高いことから、主としてそこに充当することを予定している。
|
Research Products
(2 results)