2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03537
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
待鳥 聡史 京都大学, 法学研究科, 教授 (40283709)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 多元的政治制度 / アメリカ政治 / 地方政治 / 比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、多元的政治制度に関する研究として、以下の3つのテーマを扱った。 1つは、現代アメリカ政治に関する研究である。アメリカ政治は権力分立制と連邦制を組み合わせることにより、最も代表的な多元的政治制度となっている。とくに近年では、連邦政府レヴェルにおける分割政府(政権党と議会多数党が異なること)の常態化、一部の州政府と連邦政府の間の政策的立場の相違が顕著になっていることなどにより、多元的政治制度の特徴がより明確に表れている。その点について、公表が次年度になるものもあるが、現代アメリカ政治に関するいくつかの論考を執筆した。 もう1つは、日本の地方政治に関する研究である。日本の地方政治もまた、首長と議会が別々に公選させる制度を採用しており、議会が一院制であることや単一主権国家であることなど、アメリカと比べればその程度は低いが、やはり多元的政治制度としての基本的特徴を有している。また、議会の選挙制度の比例性が高く多党化しやすいなど、別の要因によって多元的な性質が促されている面もある。これらの特徴が政策過程に何をもたらすのかについて、とりわけ現在の政策課題との関係に注目しながら、基礎的な検討を行った。 だい3のテーマが、多元的政治制度に関する多国間比較である。これについては、韓国政治を専門とする浅羽祐樹・新潟県立大学教授との共同研究を長期的なスパンで進めるべく、浅羽教授との打ち合わせなどの準備作業を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカ政治や日本の地方政治を対象とした研究そのものは順調に進んでいる。中間年度において、既に直接的な成果といえる論文が複数公表されており(2019年度の公表が確定しているものを含む)、現代日本政治が全体として集権化と多元化の複数のモメントを含んだものに変化しつつあることを体系的に分析した著作についても、最終年度の間には準備して公表できる可能性が高まっているためである。この著作の要点は、今年度に国際学会での報告を行ったほか、2019年度には別の国際学会でも報告することが決まっている。 他方で、多元的政治制度に関する基礎データの収集作業については、現代アメリカ政治について既に存在するデータベースとの技術的関係を考慮することに時間を要しているほか、韓国政治などを含めたより体系的なデータベースとした上で、国際的な貢献を目指すことが望ましいのではないかという判断に傾きつつある。したがって、この作業は当初想定通りに進捗しているとまではいえないが、より長期的かつ大きなプロジェクトとして進行させることを検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記「現在までの進捗状況」に記したとおり、研究課題に取り組んで成果につなげるという点については順調であり、最終年度である2019年度には、それをより体系的な形でアウトプットすることを意識したいと考えている。幸い、成果としてとりまとめるための方策(論文としての公表先や著書としての出版可能性)はほぼ確定しているので、それを実施に移すことが重要になる。 データセットの作成作業については、「研究実績の概要」に記した浅羽教授との共同研究として進めた方が良いかもしれない。しかしその場合にも、1年で終えられる性質の作業ではないため、たとえば2020年度から改めて基盤研究Bなどの外部資金を得て、進めていくことが考えられよう。
|
Causes of Carryover |
出席を予定していた国際研究集会に、学内での重要業務が重なってしまったために行けなかったことと、データベース作成についての方針を再検討したことによる。
|
Research Products
(5 results)