2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03550
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
和田 淳一郎 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (30244502)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 一票の平等 / α-ダイバージェンス / カルバック=ライブラー-ダイバージェンス / f-ダイバージェンス / 個人還元主義 / 分離可能性 / 大選挙区 / 単記非移譲式投票 |
Outline of Annual Research Achievements |
科研費研究目的にも記させていただいたように、日本政治を規定する選挙制度の2 大特色は“一票の不平等”と衆議院を取り巻く“大選挙区単記非移譲式投票制(Single Non-Transferable Voting, SNTV)”である。「地方議会選挙の研究」と題した今回のプロジェクトにおいて、初年度に行わざるをえないと思われていたのは、地方議会選挙データセットの構築であったが、参議院選挙データの構築を行っていたグループの中の1人の先生が取り組まれており、近々データ提供も可能であるという温かいお言葉をいただけたので、予定していた注力を一歩先んじた部分に注ぐことができた。 特例選挙区を攻める準備の方は、Australasian Public Choice Conference (Melbourne)や、 Local public finance, public choice, and collective behavior (Catania)での発表を経てMathematical Social Sciences(Volume 93, May 2018, Pages 77-89)掲載に至った、α-ダイバージェンスの分離可能性により国際比較を行った論文である。国際比較論文を国際誌に掲載するには、国際学会で叩いてもらうことが不可欠であり、科研費に感謝している。もうひとつは特例選挙区の処理に不可欠な合併問題であり、これは参議院データを使って公共選択学会での報告を行った。 大選挙区単記非移譲式投票に関しては指導院生とアイデアを温めており、東京大学社会科学研究所における発表などは行っているが、公的な公表に至ってはいないのでここに記すことは控えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初考えていたデータセット構築を親しい研究者に依拠することにしたという意味では遅れているようにも見えるが、国際比較データを使った分析のための指数の整備(Mathematical Social Sciences(Volume 93, May 2018, Pages 77-89)掲載)、合併を扱う手法の確立(公共選択学会における発表)、大学院生と進めているユニークなデータセットの構築と分析(東京大学社会科学研究所で中間報告)といった点では大きく進んでいるとも言えるかもしれない。凹凸の判断は難しいが、予定通りとさせていただきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
Japanese Economic Review(2016)の掲載に至った論文が高名な数学者の先生の目に留まり、Springerから出された御高著で紹介されたりしたせいか、国内では『オペレーションズ・リサーチ』誌(2017.10第62巻第10号)への執筆の機会をいただいたり、海外ではEntropy学会(2018)での発表のお誘いなどをいただいている。そのような中で指数の更なる整備化に至り、まずはこのラインを進めることを考えている。
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Causes of Carryover |
実績の概要、進捗状況の所にも書かせていただいたが、当初スタート時に大量に使う予定だったデータセット作成作業の方向性が変わったために、次年度以降の使用に回させていただきたく存じます。
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Research Products
(7 results)