• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Research-status Report

地域自治推進政策による住民参加拡大の可能性

Research Project

Project/Area Number 17K03551
Research InstitutionOsaka City University

Principal Investigator

栗本 裕見  大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (00449539)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords地域からの政策形成 / 協議会型地域組織 / 地域自治 / 住民参加
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、協議会型の地域組織の実態に関して、以下の自治体調査を実施し、研究を進めた。対象自治体は、いずれも独自に協議会型の地域組織を制度化している。制度的には地域自治区等の法律上の「地域自治組織」と比較すると相対的に市政への提案・参加よりも地域内連携に重点を置いていると特徴づけられる。
協議会型の地域組織の市政への参加を、提案権等として自治基本条例内にていねいに規定した伊賀市への行政部署調査では、提案権の行使、まちづくり計画の改定といった参加に関する制度の運用は滞っており、前年の調査と同様、協議会型の地域組織に関する施策の力点が、地域の活動量増加であったことが確認できた。地域組織への調査からは、参加に関する制度を活用して地域の意向を実現する難しさについて、①行政側の情報提供の不備、②地域組織側の提案能力の2点が指摘された。
また、前年度に続き、益田市、大阪市への調査を実施した。益田市については、地域組織代表と行政の双方が参加するラウンドテーブルを通じた政策形成の試みについて調査を行った。行政の設定した課題についての意見交換が行われ、行政計画策定にも参考にされている状況であるが、①地域からではなく、行政主導で課題設定がなされている、②ラウンドテーブルでの意見、結論の扱い(事業化を進めるかなど)が曖昧といった点が指摘された。大阪市に対しては、協議会型地域組織の活動実態と各区の中間支援事業者への調査を実施したが、どちらの調査についても、地域からの政策形成への関心は強いとは言えない状況である。
今年度の調査からは、地域内連携と地域の活動量の拡大を志向する制度を持つ自治体での市政への参加は発展途上であるが、この背景には①地域の提案を政策過程に反映させるための行政内部での調整、②地域組織の組織的力量(事務局人員や議論の場の設定)について、十分ではない状況があることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度の調査で、独自制度を自治体で設け、地域内ネットワークの強化と地域の活動量の拡大を志向する自治体での調査を行い、検討を行った。地域内連携と活動量の拡大という観点から、地域組織の活動(事業)についての自治体と地域の間の連携が図られているが、その一方で、地域からの政策形成、政策に対する変更の実現については、進んでいるとはいえないことがわかった。要因は行政側、地域組織側の双方に要因があり、協議会型の地域組織が参加のツールとしては未だ十分に機能していない可能性があること、地域内ネットワークの強化や地域の活動量拡大が単純に市政への参加拡大に結び付くわけではないことが明らかになった。

Strategy for Future Research Activity

今年度までの研究では、近年のいわゆる「地域自治組織」の多数を占める、独自制度を自治体で設けている自治体での調査を進めてきたが、そこからは、地域内ネットワークの強化や地域の活動量拡大が、地域内でのサービス生産や社会参加にとどまり、単純に市政への参加拡大に結び付くわけではないことが明らかになった。今後は、公式の議論の場としての地域協議会制度を持つ自治体(地域自治区導入自治体)の調査を行い、制度的な違いが参加の拡大に結び付いているのかを検討する必要がある。
今年度の調査では、自治体による公共施設の再編等のテーマで行政との交渉を行った事例を調査することができたが、こうした交渉は、地域の要望の一つの形態と見ることができるが、こうした地域負担のコントロールもまた、計画の策定、諮問への答申等と同様に参加の形態として本研究の中に位置づけておかなければならない。

Causes of Carryover

研究計画時に予定していた自治体調査の実施年次を変更していること、また、謝金の使用予定が変更となっているために、次年度使用額が生じている。
次年度には、自治体調査を予定通り実施し、また、謝金についても講師を招聘した研究会を開催するなどにより使用予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 「協議会型地域組織の制度構想に関する考察―地域負担のコントロールの観点から」2018

    • Author(s)
      栗本裕見
    • Journal Title

      国際公共経済研究

      Volume: 29 Pages: 76-84

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 協議会型地域組織と住民参加2018

    • Author(s)
      栗本裕見
    • Organizer
      国際公共経済学会

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi