2019 Fiscal Year Research-status Report
日本と欧米諸国における解職請求に関する制度と実際についての比較研究
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17K03559
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡本 三彦 東海大学, 政治経済学部, 教授 (50341011)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 直接請求 / 直接民主制 / 解職請求 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、本研究の最終年度にあたるため、2017年度、2018年度における研究をまとめることが中心となった。これまでの研究期間では、日本における解職請求制度のデータを収集、整理し、データベースを構築してきた。また、そうしたデータをもとに、解職請求がなされる背景、請求という行為が地方自治体の政治、行政、とくに政策形成や意思決定に与える影響などについて明らかにした。例えば、時系列的にみると、解職請求制度が導入された1947 年からの数年は、民主的な地方自治の萌芽ともいえる動きとして、旧憲法下の強権的な支配を排除しようとする動きがみられる。その後の「昭和の大合併」(市町村合併)に際しては合併の進め方をめぐって対立する中で解職請求がなされている。さらに「平成の大合併」の時期にも、解職請求が多くなっている。結果的に、解職請求は、地方自治体における重要な政策に関連してなされることが少なくないことがわかった。その一因として考えられるのが、日本には地方自治体の政策に関して住民投票を実施するための法律がなく、解職請求による住民投票が政策の是非を問う住民の意思を反映する手段となっている側面がある、ということである。この点は、解職請求制度について国際比較を行うことで明らかとなる。住民投票などが頻繁に実施されている国では、解職請求は多くないか、そもそも制度が廃止されたところもある。政策の判断を行うことが可能な住民投票が活発なところでは、住民投票に代わるものとしての解職請求を行う必要がないからであると考えられる。 以上のように、ここまで一定の研究成果をあげることができたと考えている。また、最後に研究成果について国外で研究報告をする予定していた。しかしながら、予期せぬ突発的な出来事がおきたため、外国での成果報告が中止せざるを得なくなった。そのため、研究の期間を延長することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、2019年度が研究計画の最終年度であり、2017年度、2018年度に国内外で得られた情報とデータを基に研究成果をまとめたうえで、研究報告することを予定していた。 そのため、これまでのデータ等を精査し、確認のために国内外の関係者にインタビュー、コメントをもらった。そのうえで、研究実績の概要でも述べたように、日本のリコール投票が政策をめぐる対立から行われることが少なくないこと、とくに市町村合併など自治体の世論を二分するような課題に関して、行われる傾向があることなどがわかった。その後、このような結果について、まとめ、研究会で発表する予定であった。その点で、本研究計画は、本年度の途中まで概ね順調に進展していた。 しかしながら、2020年に入りCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)の世界的な感染拡大という状況にあって、2020年2月から3月にかけて渡欧して、現地の研究会で研究者たちに報告、意見交換するという計画については中止せざるをえなくなった。このように、当初予定していた計画が実行できなくなくなったことから、3月に急遽、当初の研究計画を変更、延長申請、承認されたことから、次年度に実施することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、当初、2019年度で終了する予定であった。しかしながら、COVID-19の世界的な感染拡大の中で、国外の研究会で研究報告をするという当初の計画を変更せざるをえなくなり、事業期間を延長し、計画を実施することになった。そこで、2020年度は、残された課題である成果報告と意見交換を行い、最終的な研究成果をまとめる予定である。 まずは渡航が可能になり、当初の計画が遂行できるようになった場合には、できるだけ速やかに先方と調整、準備して、これまでの研究結果の報告、意見交換ができるようにしたい。また、それまでの時間については、ここまでの研究成果を再度精査し、報告のために十分に準備をする予定である。 ただし、2020年度中も長期間にわたり渡航が許可されない、またはCOVID-19のさらなる拡大、という事態も想定しなければならず、その場合には、国内での研究会等で成果発表を行い、最終的な研究成果をまとめたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究は、当初、2019年度が最終年度であったことから、2020年2月から3月にかけて渡欧し、そこで現地の研究者たちに報告、意見交換することで最終的な研究成果をまとめて、終了する予定であった。ところが、2020年に入りCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)の世界的な感染拡大という状況にあって、同計画を中止にせざるをえなくなり、そのため次年度に繰り越すこととなった。 したがって、2020年度は、渡航が可能になり、当初の計画が遂行できるようになった場合には、できるだけ速やかに先方と調整し、研究結果の報告、意見交換ができるようにする予定である。しかしながら、渡航禁止が解除されず、渡欧できないという事態も想定しなければならないが、その場合には、国内での研究会等で成果発表を行うことを考えている。
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Research Products
(2 results)