2019 Fiscal Year Annual Research Report
Whole Images of Secret Agreements between Japan and the United States: Analysis of Japan-US Political Structure
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17K03560
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
信夫 隆司 日本大学, 法学部, 教授 (00196411)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日米地位協定 / 刑事裁判権 / 公務犯罪 / 米比軍事基地協定 / ドイツ補足協定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、物的および人的というふたつの米軍基地権のうち、とくに人的な面に着目した研究をおこなった。米軍基地権の人的な面とは、日本に駐留する米兵に対する刑事裁判権の問題をあつかうものである。米兵が日本で日本の法律に触れる罪を犯した場合、日本あるいは米軍のいずれが裁判権を有するかである。さらに、逮捕、拘禁、裁判というそれぞれの過程において、日本側あるいはアメリカ側のいずれが米兵の身柄を確保できるのかにも関連する。 日米地協定第17条第3項は、日米の裁判権が競合する場合、米兵の公務犯罪および身内の犯罪を除き、米兵の受入国である日本に広範な裁判権が認められている。これは北大西洋条約機構(NATO)を構成する軍隊の地位を定めたNATO軍地位協定を受け継ぐものである。 この競合的裁判権に関して、おおきくわけて、二点問題となってきた。ひとつは、受入国である日本が、派遣国であるアメリカに対して、特別に重要な事件、あるいは、実質的に重要な事件を除き、広範に裁判権を放棄しているのではないか、という問題である。いわゆる刑事裁判権放棄密約といわれるものである。もうひとつは、公務犯罪はアメリカ側が第一次裁判権を有するものの、なにをもって公務犯罪といえるのか、また、だれが公務犯罪であると認定できるのかである。1957年1月に群馬県の相馬が原演習場でおこったジラード事件は、その典型的な例といえる。 本年度の研究では、このふたつの問題を、1947年の米比軍事協定の改正(1965年)および、NATO軍地位協定を補足するために、1959年に締結されたドイツ補足協定を中心に比較検討した。この結果、日米地位協定におけるこれらの問題をさらに深く掘り下げて理解することができた。
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