2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03568
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
松本 充豊 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (00335415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 選挙管理 / 独立機関 / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、選挙管理機関の特徴とその民主化との関係を明らかにし、台湾における民主化を促した要因を再検討することにある。本年度は台湾の選挙管理にかかわる制度構築と制度改革をめぐる政治過程の歴史的考察を行う予定であった。 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、現地調査の可能性が完全に断たれてしまった。そこで、当初の研究計画を多少変更して研究計画の執行に努めた。また、インターネットの活用や国立国会図書館関西館の利用による文献調査にほぼ徹することになった。研究の具体的内容は、第1に、憲法に規定された統治構造との関わりでの独立機関の位置づけの考察、第2に、台湾における中央選挙委員会(選挙管理機関)と他の独立機関、すなわち中央選挙委員会、中央通訊伝播委員会、公正交易委員会の制度的独立性の比較分析である。 研究の意義としては、第1に、台湾の独立機関を統治構造との関係から考察する場合、大統領制をとる米国の事例が比較的近く、参照に値することを確認できたことが挙げられる。第2に、台湾の現行の3つの独立機関には相違点が存在することが明らかにできたことである。たとえば、中央選挙委員会では同一政党に所属する委員は3分の1を超えてはならず、公平交易委員会と国家通訊伝播委員会という他の2つの独立機関(いずれも2分の1以下)に比べて厳格な規定となっている。その一方で、後者では委員全員が有給の専任職だが、前者では正・副主任委員のみが有給の専任職にすぎない。こうした違いは、前者すなわち中央選挙委員会では正副主任委員が組織運の主導権を握り、その結果当該機関の組織構成おける多元性や政治的中立性が脅かされることにもつながりかねない。独立機関の国内的な比較分析から以上の特質を認識できたことは重要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
国内外での新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず、海外への渡航と国内での移動と研究施設の利用ができない、あるいは大幅に制約される事態となった。そのため、夏期・春季休暇に予定した台湾での現地調査が困難となり、現地での文献調査やインタビュー調査が実施できなかった。国内での調査活動も大幅に制約され、本年度の研究活動が実施計画どおりに遂行できなかつた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は国内での文献調査を行うとともに、夏期・春季休暇を利用した台湾での現地調査を予定している。ただし、新型コロナウイルスの感染状況において昨今の情勢が続けば、台湾への渡航がままならず、現地での文献調査やインタビュー調査は困難となる。国内での調査活動も制約される可能性があり、2020年度と同様に研究実施計画どおりの遂行は難しくなる。そこで、文献の購入やインターネットを活用した文献調査を中心とし、調査・分析には可能な部分から柔軟に取り組んでいく所存である。インタビュー調査はもし実施可能な条件が整えばその段階で関係者への意向確認を実施したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染状況が収束せず、予定した海外での現地調査や国内での資料調査がほとんど実施できなかった。そのため、旅費を中心に計画どおりの使用が困難となった。本研究計画への取り組みが、学内業務や他の研究活動との関係で時間的に圧迫されてしまったことも助成金の使用計画に影響した。次年度は国内外での調査活動の実施を計画(期待)しており、それが実現できれば助成金を適切に使用できると考えている。
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Research Products
(1 results)