2020 Fiscal Year Annual Research Report
Otto Kirchheimer and the "catch-all party"
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17K03570
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
野口 雅弘 成蹊大学, 法学部, 教授 (50453973)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オットー・キルヒハイマー / 脱政治化 / 政治的中立 / マックス・ウェーバー / フランクフルト学派 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツおよび米国での現地調査を予定していた。しかしコロナ禍で渡航が困難になり、計画を変更せざるをえなかった。このため関連の文献を購入するなどして、研究を遂行した。 キャッチ・オール・パーティ(包括政党)の研究を進めるなかで、政治的「中立性」をめぐるいくつかの問題が見えてきた。脱政治化については、とくに政治メディアにおける政治的党派性の扱い方が重要だということに気づいた。この関連で「「政治的に中立でいたい」時代の「政治的なもの」――マンハイム・シュミット・丸山 」『生活経済政策』2021年1月、「「政治的中立性」の陥穽――危機の時代の政治教育」『月刊 Journalism』2021年1月、「(経済教室)政治とコミュニケーション(上) 合意形成偏重に落とし穴」『日本経済新聞 』2021年2月5日 などを発表した。 翻訳『フランクフルト学派のナチ・ドイツ秘密レポート』(みすず書房、2019年)を刊行した。これはフランツ・ノイマン、オットー・キルヒハイマーらによって執筆されたレポートを検討するよい機会になった。この成果として、『よくわかる政治思想』(ミネルヴァ書房、2021年4月)に「フランクフルト学派」の項目を執筆した。従来、フランクフルト学派の説明としては、ホルクハイマーとアドルノからハーバーマスへの展開が強調されてきた。今回は、政治学・政治思想の領域でこの学派を扱うためには、ノイマンやキルヒハイマーにも目配りする必要があることを示した。 その他、直接的にこの科研のテーマとは関係ないが、マックス・ウェーバー没後100年の諸々の企画に関与した。そして『マックス・ウェーバー――近代と格闘した思想家』(中公新書、2020年5月)を刊行した。
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