2018 Fiscal Year Research-status Report
Civil Society-Political Collaboration over American Immigration Policies
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17K03572
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アメリカ / 移民 / 連邦政府 / 州政府 / 市民社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、前年度にハリケーンのため中断した現地調査を、移民をめぐる政治の展開に対応した形で組み換え、二度の現地調査を実施した。その一つが、トランプ政権下で連邦政府の移民政策が従来の包括的な統合をめざす流れと逆行する中で、州政府が移民の権利を保護する方向で政策を進めているという対立構造に関する調査である。事例としてカリフォルニアの動きを取り上げ、2018年5月にサクラメントにおいてカリフォルニア州議会議員および州政府と連携する市民社会団体の聴き取り調査を行った。カリフォルニアにおける移民問題の中心はラテン系であるが、アジア系などマイノリティ間の活動の提携関係の実態が浮かび上がり、調査の過程においてもも聴き取り対象範囲の拡大についての助言を受けた。もう一つは、2018年秋の選挙で連邦下院において民主党が多数派を取り戻し、新たな動きが生じたワシントンにおいて2019年3月に行った現地調査である。連邦政府への移民法改正に向けた働きかけを行う州議会連合体や立法化を支持する市民社会団体に対する聴き取り調査を行った。同時に、従来は移民問題とは関係してこなかった福祉団体が、移民問題とマイノリティ問題が重なりあう実情に向き合う中で活動範囲を移民の権利保護へと拡大する様子についても聴き取り調査を行った。前半の調査結果から浮かび上がった政府と市民社会の建設的な連携の方向性については紀要論文としてまとめた。後半の調査結果は、次年度の調査対象をさらに絞り込んでいくための資料として活用していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に中止したマイアミ現地調査を組み換えて、州政府と連邦政府の状況がリアルタイムで展開しているカリフォルニアとワシントンでの現地調査を行うことで、前年度の遅れを取り戻した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画に基づいて調査・研究を進めていく。ただし、2018年度の調査結果を活用するため、調査対象を拡大するのではなく、カリフォルニア州に絞って現地調査を継続する。
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Causes of Carryover |
2017年度にハリケーンのため現地調査を中断し帰国したために生じた繰り越し分が2018年度予算に追加されている。2018年度はほぼ計画通りに研究活動が進展したことで、この繰り越し分が2019年度へと再度繰り越される結果となった。2018年度の2度の現地調査を通して調査対象をさらに具体化することができたため、2019年度は1)物品費で関連文献を入手し、2)旅費に繰り越し分を充当することで現地調査を拡充し、3)2018年と同じくアルバイトに調査結果の整理を依頼しながら、成果の発表へと繋いでいく予定である。
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