2019 Fiscal Year Annual Research Report
Civil Society-Political Collaboration over American Immigration Policies
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17K03572
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アメリカ / 移民 / 連邦政府 / 州政府 / 市民社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、アメリカの連邦政府と州・地方政体や市民社会というアクターの接合面で生じる、建設的な政策形成の実態の解明を目的とした。連邦政府が入国管理を管轄する一方、生活の場である州・地方政体やそこで活動する市民社会の支援団体は、法的地位にかかわらず住民の人権を守る立場にある。移民政策を具体的な調査事例とすることで、三つのレベルの政府、そして市民社会の間で展開される協働の検証を試みた。 当初は、建設的な協働を事例とする計画であったが、トランプ政権の発足により全体の構図が大きく変容した。そこで、連邦政府を直接の聴き取り調査の対象とはせず、州・地方政体が住民である非合法滞在者の権利を、連邦との緊張関係の下で保護・推進する事例の調査を進めた。2019年度は特にサンフランシスコとシカゴを調査対象として訪問し、法的支援、福祉支援を行う団体やエスニック団体への聴き取り調査と同時に活動への参与観察を実施した。また州政府・議会連合や市政府・議会連合などが、横の連携を基盤に連邦政府に対して働きかける実態も調査した。トランプ政権の影響が蓄積され始めたことで、具体的な事例と課題についての情報は得ることができたものの、連邦政府と連携して地方政体に制約を課す保守的な州での調査は課題として残った。 また、国内では資料調査を行うことと並行し、近接課題を扱う研究会に参加して意見交換を行う中で、アメリカの事例研究の結果を学術的に位置づけるべき座標の確認を行った。 最終年度を組み直した課題のもとでは、1)歴史を通して揺れを見せる連邦と州・地方政体の関係について、法律解釈も視野に入れる、2)アメリカの社会経済的、さらにエスニックな分断線と政党支持と連関の変容を確認する、3)異なる政治文化の地域の市民社会の活動について比較可能な情報を入手することを通して、発展的に研究を継続していく。
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Research Products
(3 results)