2017 Fiscal Year Research-status Report
中国対外政策決定の構造的特徴ーー「回転ドア」を手掛かりに
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17K03598
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青山 瑠妙 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (20329022)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中国外交 / 政策決定 / 国際関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、対外政策にかかわるエリートにフォーカスを当てた情報収集とデータベースの構築を行いつつ、これまでの対外政策決定にかかわる先行研究のリサーチも行った。 特に台湾国立政治大学やアメリカのジョージワシントン大学などの海外の研究者との交流を通じて、日本や中国の研究のみならず、アメリカ、台湾などにおけるこれまでの中国研究成果をリサーチすることもできたことは、大きな収穫である。 また海外研究者との交流を通じて、研究成果の対外発信も積極的に行っている。台湾の国立政治大学での研究発表、アメリカのウィルソン・センターや南メソジスト大学での研究発表を行い、そして韓国の学術誌において研究成果を発表した。 対外政策決定に関する研究においては、習近平体制下の対外政策に焦点を当てつつ、その政策の変貌にかかわる分析を行い、研究成果も公表している。 こうした研究を通じて、近年生じている中国の対外政策決定のメカニズムにおける構造的な変化に対する理解を深めることができた。中国の対外政策決定は三つの段階を経て、大きな変貌を遂げてきた。毛沢東時代に構築された対外政策決定の在り方は、鄧小平の改革開放政策の流れのなかで取り組まれた「分権化」と「権力下放」によって、江沢民、胡錦涛時代の「分断化された権威主義体制」下の政策決定メカニズムへと変容した。しかし習近平体制に入ってから、中国共産党の指導が強調され、機構改革が行われるなか、中国の対外政策決定メカニズムは新たな段階に突入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究において、対外政策にかかわるエリートにフォーカスを当てた情報収集とデータベースの構築は着実に進んでおり、研究テーマにかかわる先行研究や海外の研究成果にかかわるリサーチも進展している。
近年の中国の対外政策の変貌に関する研究を行い、研究成果を日本国内のみならず、海外へも積極的に発信している。 こうした研究を通じて、近年の中国の対外政策決定にかかわる構造的な変化についての理解を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降は、公開資料による文献のリサーチを進めると同時に、関係者のヒアリング調査も行っていく。同時に、次の三つの具体的な研究テーマを掘り下げて研究を進めていく予定である。 ①党と政府間の回転ドア、②地方政府と国有企業間の回転ドア、③党・政府・軍・国有企業・地方政府と学者間の回転ドア 平成30年度は、党(中聨部)と外交部(政府)の回転ドアという研究テーマに特化して分析を行う予定である。 中聨部と外交部との間の回転ドアは、これまで外交部から中聨部への人事異動が多かったが、習近平体制に入ってから、党の指導が強化されるようになったことに伴い、中聨部と外交部の関係に変化の兆しもみられる。 平成30年度は、党と政府の回転ドアの変遷プロセスとその特徴を明らかにする。
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