2018 Fiscal Year Research-status Report
中国対外政策決定の構造的特徴ーー「回転ドア」を手掛かりに
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17K03598
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青山 瑠妙 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (20329022)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際関係 / 中国外交 / 地域研究 / 政策決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度において、2つの作業を中心に研究を進めた。 まず、外交部と中聨部の部長、副部長クラスのエリート層に焦点を当て、年齢、学歴などを中心に情報を収集し、データベースの構築を試みた。 そして、2018年度は、党(中聨部)と政府(外交部)間の回転ドアの分析に焦点を当てた。当該年度の研究を通じて、以下のようなことが観察できた。①ボトムアップ型の対外政策形成において、中聨部に比べ、外交部の影響力ははるかに大きい。これは中国国内の組織構造に起因している。中聨部は中央レベルにしか組織が存在せず、地方レベルにおいて下部組織が置かれていないのが特徴である。他方、外交部は地方レベルの外事組織を管轄しているため、ボトムアップ型の政策形成において強い影響を及ぼすことができる。ただし、省によって、外交部の影響力は異なり、上海の地方外事弁公室のように外交部の直接管轄下に置かれている場合もあれば、少数民族地域においては外事弁公室そのものの役割は小さく、中央政府と地方政府の関係で対外関係を管轄しているところもある。②地方の外事組織に対する中央(外交部)の管理を強化する動きは冷戦終結後2度行われた。胡錦涛体制での国内政策調整機能強化の動きはほとんど効果が見られなかったが、習近平体制下で地方政府に対する外交部の管理能力が格段に上がった。③中聨部と外交部との間の回転ドアは、これまで外交部から中聨部への人事異動が一般的となっている。 2018年度に行われた研究は、政府間の対外政策(外交部)と政党間の対外政策(中聨部)の決定プロセスの全貌を明らかにするうえでまだ不十分であり、今後さらに研究を深めていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
外交部と中聨部の関係について、データ収集と研究を1年で研究する予定であった。 しかしながら、習近平体制下で、反腐敗運動や党の統制強化により、人事異動が頻繁に行われたため、データ収集により多くの時間が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、対外政策に携わるエリートにフォーカスした情報収集を引き続き進める。同時に党・政府・軍・国有企業・地方政府と学者との間の回転ドアに関する研究を行う。
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