2019 Fiscal Year Research-status Report
中国対外政策決定の構造的特徴ーー「回転ドア」を手掛かりに
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17K03598
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青山 瑠妙 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (20329022)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中国の外交 / 国際関係 / 地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度において、主に次の三つの課題を中心に研究を進めた。第1に、引き続き対外政策に携わるエリートにフォーカスした情報収集を進め、データベースの構築を進めている。第2に、収集した情報に基づき、党(中聨部)- 政府(外交部)間の回転ドアを中心に分析を行っている。第3に、地方政府と国有企業に関する情報収集を進めている。 中華人民共和国建国後の外交部歴代の部長、副部長、部長助理100名以上の外交官のなかで、外交部から中聨部への人事異動が行われたのはわずか4名であり、党が主管する対外関係にかかわる組織と政府が主管する対外関係の組織との間での回転ドアが機能しているとは言えないことは中国の対外関係組織の大きな特徴となっている。 2019年度は過去に収集したデータに基づき、研究成果の発表と対外発信にも努めている。2019年10月に台湾国際関係中心が主催した「習近平時代における党国家体制の変化」と題するシンポジウムに参加し、習近平体制下の対外政策分野における改革に関する発表を行った。また本科学研究費の研究の成果として、『国際問題』誌で、「中国の対外政策の構造的変動:「富国外交」から「強国外交」へ』と題する論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、外政策に携わるエリートにフォーカスをあてた情報収集が順調に進んでいる。また党と政府の間の回転ドアに関する研究成果も発表している。 他方、習近平政権下で展開されている反腐敗キャンペーンによって、地方政府と国有企業のトップの大幅な入れ替えが行われたため、データベースの構築については若干難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度において、対外政策決定におけるシンクタンクの役割、公共政策決定過程において政府、企業、学者の連携プレーに関する先行研究を整理し、対外政策決定にかかわる重要なシンクタンクに焦点を当て、党・政府・軍・国有企業・地方政府と学者の間の人的ネットワーク(派閥)を考察する。 外交学院は制度上外交部や中聨部と深い関係を有し、また地方の外事弁公室との人的交流も行っており、軍や企業とも関係を有している。こうしたことから、2020年度は対外政策決定に大きな影響を及ぼしている外交学院をケースに研究を進める。
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