2020 Fiscal Year Research-status Report
中国対外政策決定の構造的特徴ーー「回転ドア」を手掛かりに
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17K03598
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青山 瑠妙 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (20329022)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 対外政策 / 地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度において、中国の対外政策決定におけるシンクタンクの役割、特に公共政策決定過程における政府、企業、学者の連携プレーに関する研究を進めた。 胡錦涛体制下では、対外政策をめぐる政策決定プロセスにおいて、地方政府、国有企業、シンクタンクとの間には強い連携があり、一つの利益集団をなしていた。他方、習近平体制に入ってから、対外政策における党中央による「頂層設計」の重要性が強調され、政策決定、政策執行、資源配分において党中央の絶対権威の確保を図るべく抜本的な改革が敢行された。こうした流れのなか、対外関係の分野において、計画外交が行われるようになった。習近平政権は党内法規や政策文書で対外政策における党中央の権威を明文化し、対外関係にかかわる各組織内の党委員会の権限を強化するとともに各組織の党委員会への統括強化も図った。また各組織間の協調体制を構築する上で、各省庁と地方政府の間、地方政府の外事弁公室の間で定期的な会合、資源共有メカニズム、イベントの共催などの制度が考案され、すでに始動している。 集権化のプロセスにおいて、外交部の役割が大きく増大している。他方、中国の対外関係におけるもう一つの重要な機関である中聨部も党指導強化という体制づくりのプロセスにおいて重要な役割を担っている。そして、制度上外交部と中聨部と深い関係を有する外交学院の役割も拡大の傾向を見せ、地方の外事弁公室との人的交流も以前より進められるようになってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は日本国内でオンライン・シンポジウムで研究成果を発表し、研究成果を論文にまとめ刊行した。 他方、コロナの影響で海外でのインタビュー調査は難しく、また海外での研究発表も思うように進まなかった。 習近平体制に入ってから、反腐敗キャンペーンが展開され、地方政府、国有企業、軍、シンクタンクのメンバーは大幅かつ頻繁に入れ替わっており、データ収集も困難で、必要以上の時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、データ収集作業をさらに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、海外での実地調査ができなかった。 令和3年度においては、実地調査を行う予定である。
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