2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03604
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
村田 晃嗣 同志社大学, 法学部, 教授 (10284126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿川 尚之 同志社大学, 法学部, 教授 (00317306)
小島 誠二 同志社大学, 研究開発推進機構, 研究員 (00796500)
中谷 直司 三重大学, 教養教育院, 特任准教授(教育担当) (70573377)
山口 航 帝京大学, 法学部, 助教 (90735317)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 都市 / 外交 |
Outline of Annual Research Achievements |
「都市からの外交」と「都市への外交」の2つの方向を軸として、①自律的プレイヤーとしての都市による外交の実態を把握し、②都市外交研究の基盤となる分析枠組を構築し、③国家を始めとする他のアクターとの相互作用を分析し、「都市」が世界政治で果たしつつある役割を明らかにしていくことを目指して研究を進めた。都市をめぐる外交を2つの方向から事例を研究し、都市の経済活動の結果ではなく、世界政治の構成要素としての「都市外交」研究を目標にした。 研究の2年目にあたる本年度は、前年度の成果を踏まえて、行政機構内部の意思決定だけでなく、一層把握が難しい各都市の実業界や大物政治家の影響力、干渉、課題設定、さらに各都市が歴史的に形成してきた「価値観」(文化)の役割にも分析対象を広げた。そして、都市外交の政策・政治過程の特徴として整理した。基礎的な文献収集、情報の収集なども引き続き実施した。加えて、政府関係者や自治体関係者など、日本の都市外交の関係者にインタビュー調査を行い、文献のみでは必ずしも明らかではなかった知見を得た。 さらに、日本のみならず、米国など海外における都市の役割についても考察を深めた。これらの成果の一部は、村田晃嗣『大統領とハリウッド――アメリカ政治と映画の百年』(中央公論新社、2019年)や、村田晃嗣「レーガンとトランプ――比較リーダーシップ試論」『国際安全保障』第46巻第1号(2018年6月)、14-32頁などとして公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の2年目にあたる本年度は、研究会の開催、基礎的な文献収集および情報の収集、分析枠組の構築など、おおむね当初の計画に沿って研究を進めることができた。 また、政府関係者や自治体関係者らとのインタビュー調査を広島、東京、大阪などにおいて順調に実施し、新たな知見を得ることができた。主要なものは以下の通りである。平成30年7月に広島市市民局国際平和推進部や広島県地域政策局、広島平和文化センターの関係者に、広島市・広島県などが推進する平和外交等について聞き取りを実施した。10月に外務省大臣官房総務課地方連携推進室の役割等についての聞き取りを実施した。平成31年1月に、東京都が進める「都市外交」等についての聞き取りを実施した。1月に大阪市経済戦略局に大阪市の国際交流等についてのインタビューを実施した。 以上より、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を踏まえて、引き続き、基礎的な文献収集および情報の収集、インタビュー調査を積み重ねていく。都市が今後「世界政治」のなかで発揮すべき役割について、政策提言を視野に入れて研究を実施していく。とくに、①新しい「国際規範」の発信者としての都市と、②国連や地域機構と協力して紛争後地域の「平和構築」に貢献する都市の姿に着目している。①については、国家主権の制限に必ずしもしばられない都市が、規範(新たな理念)の意識的な発信者として行動を活発化させれば、すでに実績があるNGO や多国籍企業を上回る影響力を発揮することが可能ではないかと予測している。②については、停戦監視や武装解除の初期段階ではなく、その後の自治機構の整備や地域コミュニティーの安定化に、都市が組織的に関与できる「国際制度」の構築を想定している。現在は後半の段階も基本的には国際機構が主たる担い手だが、「地方自治体」である都市の組織的な関与は、平和構築の最難関ともいえる自律的な地域社会の構築を大きく助けると予測するからである。
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Causes of Carryover |
初年度からの繰り越しがあったことが影響して次年度使用額が生じた。次年度により多くのインタビュー調査等を実施し、事例を増やすために使用することを予定している。
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Research Products
(3 results)