都市は外交する――都市からの外交、都市への外交

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K03604
• Research Institution: Doshisha University
• Principal Investigator: 村田 晃嗣 同志社大学, 法学部, 教授 (10284126)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 阿川 尚之 同志社大学, 法学部, 教授 (00317306) ; 小島 誠二 同志社大学, 研究開発推進機構, 研究員 (00796500) ; 中谷 直司 帝京大学, 文学部, 准教授 (70573377) ; 山口 航 帝京大学, 法学部, 助教 (90735317)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 都市 / 外交 / 都市外交

Outline of Annual Research Achievements

グローバル化を背景として、国際政治における都市をめぐる外交の重要性が増している。本研究は、「都市からの外交」と「都市への外交」の2つの方向を軸として、①自律的プレイヤーとしての都市による外交の実態を把握し、②都市外交研究の基盤となる分析枠組を構築し、③国家を始めとする他のアクターとの相互作用を分析し、「都市」が世界政治で果たしつつある役割を明らかにしていくことを目指している。都市をめぐる外交を2つの方向から事例を研究し、都市の経済活動の結果ではなく、世界政治の構成要素としての「都市外交」研究を目標にした。
研究の3年目にあたる本年度は、前年度の成果を踏まえた上で、都市が今後「世界政治」のなかで発揮すべき役割について考察を行った。新しい「国際規範」の発信者としての都市と、国連や地域機構と協力して紛争後地域の「平和構築」に貢献する都市の姿に着目した。
8月には京都市の担当者とのインタビュー調査を、9月には一般財団法人自治体国際化協会担当者との聞き取り調査を実施し、文献のみでは必ずしも明らかではなかった知見を得た。CLAIRや京都市などの活動の実体を明らかにするとともに、自治体やCLAIRと外務省などとの関係、日本の外交活動における位置づけ、歴史的文脈における推移などについてインタビューを行い、考察を進めていった。
その過程において、京都にて都市外交研究の現況に関する研究会も開催し、メンバー同士のみならず、メンバー以外の参加者からも意見や助言を聞き、議論を深めていった。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究の3年目にあたる本年度は、研究会の開催、基礎的な文献収集および情報の収集、分析などは、おおむね当初の計画に沿って研究を進めていた。しかしながら、年度末に、新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう影響を受けた。そのため、研究会の開催や、聞き取り調査・資料調査など研究の遂行に支障が生じた。

Strategy for Future Research Activity

これまでの成果を踏まえて、引き続き、基礎的な文献収集および情報の収集、インタビュー調査を積み重ねていく。都市が今後「世界政治」のなかで発揮すべき役割について、政策提言を視野に入れて研究を実施していく。
新型コロナウイルス感染症が一定程度収束すれば、予定していた研究活動の遅れを取り戻すべく、実地調査を再開していく。これまでの成果を包括的にまとめ、公表する予定である。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう影響を受けたため。その影響が軽減され次第、研究会の開催や、聞き取り調査・資料調査などを実施する計画である。